第20話 安室奈美恵とセクシー

まあ、タイトルから言うと釣りですよね。とは言え、それのスタイルが何時の間にか定着している現象も、テレビを主に通じたメディア最期のあがきだったかもしれません。


セクシーとはですよね。

昭和末期へのあの時代に、誰がマドンナが今日迄最前線で活動していると思った事でしょう。あの時期共に過ごした方なら、シンディ・ローパーの方が実力も人気も上だったのですよね。それが結果としてマドンナの方が席巻している事実。


マドンナの入口は、学生をかなり刺激するセクシー路線だったのですが、そこはセクシーの恐ろしさ。次第に世間皆が受け入れてしまうのですよね。マドンナ有りじゃない的な。

それを早くも察してスタイルを受け入れたのが中期REBECCAで有り、NOKKOが体現していましたよね。まずここで肩出しルックと。


ここかな。メディアの変遷期でセクシーシンガーの座が、やや薄れた後の安室奈美恵のガツンさ。

そして90年代に、満を持してのファッションリーダーになるべくしてなった、安室奈美恵が舞台へと。


90年代のあの時代は皆どうかしてたというか、ミニスカと肩出しは勿論、ヘソだしまでにファッションとして昇華。アムラーと倣った娘さん達で街は海岸かと言う程の勢い。まあ渋谷がほぼそれなので、集団心理の渦中、違和感無いまま独自の進化を遂げて行き、日本の文化の新たな形成へと。



ここまでで安室奈美恵の音楽に触れて無いでしょうになりますよね。


安室奈美恵が当初のユーロビートシンガーだったら、多分ふっつと消えていたでしょうね。TKプロデュースが入った事で、フラットしながら駆け上がる楽曲が、安室スタイルと相まって得も言われぬセクシーさを表現し、テレビでドン!CDでドン!カラオケでドン!ともなる訳であります。


小室哲哉天才かになりましょうけど。TK自身のコーラス(注.1)がフラットな上を担当していますので、それをメロディーに採用が新鮮でも有り、ファッションとのシナジー効果で新時代に迎え入れられる訳です。


誰もが、安室奈美恵はずっとTKプロデュースであろうと思われましたけど、TKにも停滞は有ります。時代はアシッドテクノから派生したダンスビートが主流になりますが、TKのフレーズは1998年のフランスワールドカップ辺りのジャン・ミッシェル・ジャールと共同作業した前後より、ユーロ寄りの電子音楽に傾倒します。今となってはEDM先駆者たるかなのですが、TK、やや古いかなの空気感が漂っていました。


まあ、TKプロデュース卒業も頃合いだったかもしれませんね。卒業その後はハウス的な傾向に行ったり、ヒップホップ的な傾向に行ったり、R&B的な傾向に行ったりでどれが安室奈美恵なのかなとも。

そんな時期に同僚から「安室奈美恵格好良いですよね」とか言われても、何か敢えて難しい楽曲に行ってるなで、やや答え難く、図らずも敬遠の時期もあったり。


ただ、誰にでも躍動する契機は訪れます。その安室奈美恵も適時にCMソングで確実に話題をさらって来ましたが、TBS系日曜劇場『空飛ぶ広報室』主題歌「Contrail」で皆に分かり易いエレクトロ・ハウス調を展開し、いよいよ帰ってきたかですよね。

まあ、安室ファンであるなら帰ってきたも何も、定期的に全国のアリーナツアー行い盤石だったろうも有りますけどね。何を今更的も、受け入れて貰えるのが安室ファンの懐の広さかなとも。

そう誰もが、あの安室奈美恵をもう一度聞きたかったが「Contrail」に有ります。この原点回帰、出来そうで出来ない一線ですよね。結果成功で、ある程度の楽曲冒険をしてもチャートに上がって来る事になります。



そして確実過ぎるキャリアの中で引退ですね。


声帯を守れずが理由らしいですけど、そのケアもその気になればですよね。ここ近年の立ち位置なら音楽活動のセーブもやや出来るでしょうし、年を取ればどうしても音程は下がって行きますし、何よりその音程にあった新しい楽曲にも巡り合えたかもしれないのにでしょうか。

そうとは言え、フィジカル面は、他の人が決して口が出せませんから、引退は止む得ないかなとも。


ですけど、また何処かで出会えたら良いですね。私は、その機会は少なからずあると思います。その時は、また皆が暖かい目で迎えられたらと思います。





最期の楽曲は、安室奈美恵の契機になったと思うMVです。

ええと、フルMVで無いのが残念です。エイベックスの方針はどうしたいのでしょう。フルにしてこそ味わい深いMVもあるのですけど。それはクリップ集発売を見据えたものなのでしょうかね。せめて上位チャートに入った曲はフルMVにして、アーカイブとして音楽遺産に残すのもお仕事かとは思いますけど。


最後に愚痴愚痴言うと、安室奈美恵を再び視聴するきっかけはMTVの定期放送なのですよね。フルサイズMVに、各年代ライブダイジェスト映像に、かなりの長尺の特集も有りでの、流石MTVと言うところでしょうか。

そのMTVも青森ケーブルテレビのチャンネルから理不尽に除外されています。編成故でいつかは復帰するかもですが、未だ復帰は有りません。MTVはただの音楽プログラムと一線を画すのですが、これでいいのかな、青森の音楽文化。



■【公式】安室奈美恵 / 「Body Feels EXIT」Music Video https://youtu.be/mu2KgmvJCw8 @YouTubeさんから

ダンスビートの最前線にいたTKの真骨頂ですね。ビートトラックとシンセトラックの調音もこれしか無いの最適振り。ここもやや謎ではあります。この時期のTKはプリセット音色を堂々と使って憚らなかったのに、余程力入れていたのかな。

そしてTMNが歌ってもヒットしたかもしれないけど、安室奈美恵の節回しでないとより説得力なかったかもと。



■【公式】安室奈美恵 / 「LOVE 2000」Music Video https://youtu.be/igWLup4Iio4 @YouTubeさんから

一見ブレイクビーツの印象しか残りませんけど、ちゃんと主旋律は高揚していくし、ゴスペルコーラスも贅を極めます。聞く程に中毒性有るのは何故なのですが、そこは作家陣にプリンスファミリーのシーラEがいるからでもあったりします。

えっつ…まさかこのブレイクビーツって、シーラEのフレーズサンプリングなのかと、未確認ですけど今更でしょうか。



■【公式】安室奈美恵 feat. AFTERSCHOOL / 「make it happen」Music Video (from AL「Checkmate!」) https://youtu.be/qSFSue23ptI @YouTubeさんから

後追いの視聴ですね。これは安室奈美恵とAFTERSCHOOLを組み合わせて良かったのかと言う位の意欲的な楽曲です。

2011年頃の楽曲で今のアイドル曲の全てが網羅されています。メインとサブのメロディーの妙に、アイドル楽曲に有りきの合の手コーラスのお手本振りに、そしてミドルテンポでも飽きさせないバックトラックの充実ぶり。

まあ、作家陣にDOUBLEの名があるので、その丁寧な譜割りに納得もします。姉妹活動時期が懐かしいですね。



■【公式】安室奈美恵 / 「Contrail」Music Video (from AL「FEEL」) https://youtu.be/IGf_eCvT4o8 @YouTubeさんから

エレクトロハウスの全開。いや厳密に言えばEDMの音符構成にエレクトロハウスの音色かなとも。そこが新しくも有りますね。

そう、歌詞が全部メロディーに乗る秀逸さも有り、ドラマ『空飛ぶ広報室』の人気と相まって高評価ですよね。

イントロのトランスっぽいシンセ単音も、楽曲が始まるよ的な感じで、ドラマ場面展開に積極的に寄与しています。



■【公式】安室奈美恵 / 「Mint」Music Video https://youtu.be/e79Z-VMTJwE @YouTubeさんから

ダンスビートの極限でしょうか。TKプロデュースの頃から聞けた低音ラップボイスも昇華。

MVも秀逸ですね。32人のダンサーが揃い過ぎて無個性に見えますけど見応え十分です。ファッションのショートパンツも、ビヨンセ元祖でしょうけど、今となっては韓国アイドルが大主流ですね。時系列で追えませんが、このMVが分水嶺かなとも。





TK自身のコーラス(注.1)

TK全盛のドキュメントで、小室哲哉がロサンゼルスのプライベートスタジオで仮歌を入れていたのですが、ピッチをエフェクターに掛けてオクターブ上げたら、華原朋美そのもの声だったのですよね。惹かれるべくして惹かれ合うって、世の中必然な訳です。

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