番外編.3 平成私史
音楽遺産のタイトルで、何で私判家の私史読まないといけないのですけど、ここは平成の実態をがっつりと記します。
平成は良くも悪くも、平和な時代な傾向で綴られます。果たしてそうでしょうか。私はそうは思えません。
NHK特集「新映像の世紀」で見られた様に、大正の第一次世界大戦、昭和の第二次世界大戦は、映像記録的に悲惨そのものです。吐き気がする程に死体が転がっています。
世界大戦に比べたら、平成はなんて平和でしょうけど。それははっきり違います。映像機器及び民生機器の発達で、人々が死に行く過程がお茶の間に提供される様になりました。感受性が豊かな方ならダメージも深刻です。何の為に生かされているか、これは誰に問うべき事なんでしょうか。
その、何の為に生かされているか。平成の私の日常で対面せざる得なかった、幾つかの事象を思い起こしてみます。
■1995年1月17日(火)5時46分 阪神淡路大震災
私の目覚ましは、テレビのタイマーで起きるものでして、今日は何か音声のトーンが違うと、ふと見るテレビはただ関西で大きな震災を告げているだけでした。まあ速報で、高速道路橋も倒れてはいるも、構造脆いな、そしてままある地震かなとも、手短かに仕度しては出社です。
会社では、そこそこのアナウンスがあったものの、今迄にも各地の豪雨被災等で会社から技術者が現地に派遣されていたので、今回もかなと過っただけでした。
しかし昼食の際のテレビを見ると、想像を絶する広範囲の阪神淡路大震災のニュースが上がりつつありました。これはかなりまずいなとも。でもそこは東京ですから、気には掛けても私達は通常の仕事です。
そして、定時で上がり家に戻ると、テレビのニュースは燃え上がる家々の数々、そこには未だ救出出来ない方々もいると報道されていました。
何で助けられないのだろうと思っては、火元が広がる中継を見る術しかなく、どうしてもどうにか出来ないのか、インターネットも普及していない時代で歯噛みをしていました。仮にネットに書いたところでどうにかなるものでも有りません。被災地とテレビを見つめる一同には為す術も有りませんでした。
■1995年3月20日(月)8時頃 地下鉄サリン事件
月曜のやや寝ぼけ眼のまま、9時に仕事開始となるのですが、業務課の課長が号令かけては「地下鉄で大事件発生」と大声で叫んでいました。皆の反応は何言ってるのですけど、それでも営業の方は得意先に出て行く始末。まあ有り得ない時代でしたね。
そして不思議な事は、会社が定時で終っても普通に地下鉄で家に帰れた事です。これも今思えば如何なものです。そこでまた事件起ったらどうするの。
そのまま家に帰って見たニュースは、地下鉄から救出までの惨状そのもので、理由も無く死に行くものなのかと、やや他人事でした。その後、時間日々を追う毎に克明になって行く地下鉄サリン事件は、あと30分遅く出ていたらサリンの捲かれた通過電車に巻き込まれていたかもしれないの事実。そこは助かったの安堵しかなく、若僧は被害にあった方の事等深く考える事も無く、また日々の仕事に埋もれて行くのでした。これは憤りをまだ共有出来ない冷めた時代のお話です。
■2001年9月11日(火)21時46分 アメリカ同時多発テロ事件
21世紀にも入ると、私の会社は斜陽の時代に入りました。明確なビジョンを持たないカルロス・ゴーンを始めとするコストカットブームに乗ったおかげで、現場は混乱の極みです。
私は丁度ITバブルの会社への納品業務に従事しており、残業尚も残業で。いつもは日を跨いでの退社になるのですが、この日は珍しくも仕事も早く捌けては、21時前には退社出来ました。
そして家に帰った見た、22時頃のニュースセンターとュースステーション
は、何故かワールドトレードセンターから煙が上がっている映像でした。キャスターも何が起こってるか分からず、火事の先行報道ながらも、飛行機が突っ込んだ未確認情報も有りました。そして1時間程でビルが倒壊し、これは何なのだ、本当の出来事なのかと、だけど、明日も夜遅くまで会社で仕事だから兎に角寝ようでベッドに入りました。
そして翌日、大型テロは頑として全容掴めずぼんやりでしたけど、会社の朝礼では自分の仕事をしなさいの向きでした。今思えば長過ぎるテロとの戦いの始まりであったのに、あっさりしたものです。世界的な会社なのにそんな扱いです。
■2011年3月11日(金)14時46分 東日本大地震
この日のこの時間は、定期検診で新宿の病院におりました。
東日本大地震の瞬間、突然の横揺れでしたが、実家の東北ではこれ位の横揺れはままあったので冷静に対処しました。
ですが、ここからが東京でも悲惨な状況が続きます。出先ですから一切の情報が流れぬ中、バスタクシー乗用車を除いて、交通機関が全面的に止まります。家は浦安の為、帰る術はタクシーに限られ、延々順番を待っていました。まあ日を跨ぐかなと思ったら、運良く21時位にはタクシーに乗れました。
緊急対応の相乗りタクシーから見る、東京の風景は大混雑そのもの。皆徒歩で帰宅しており、この瞬間にも余震があったら、ビルが倒れて圧死するんだろうなと思っていました。それ程、皆の想像力が欠如していたと言う事です。
そしてタクシーを降りては、晩ご飯まだだなと思いつつ、普段から入店の少ない近所のセブンイレブンに寄ったものの、あるのは幾つかのおにぎりのみでした。得も言われぬ事態が日本中で起きているのだと、ひしと感じました。
そして帰宅後のニュース。東北での津波の数々に、燃え盛る大火事。またかと。何で被災の教訓を生かせないのかです。
テレビはその後も浮かび上がる死傷者のカウンター表示。リアルタイムで大震災で被災者が死ぬ所映して行ったのに、この残酷過ぎる報道の在り方。これが平成の風潮なのですよ。全ての情報を開示する事が、報道の役割であったか、今でも疑問です。
震災後、ここからが私の転機になります。
震災から週明けの月曜日に、さあ会社に行こうと駅に向ったら説明無しのロックアウト、そんなニュース流れていなかっただろうと。家族に電話掛けてみたら、電力供給の計画停電云々で全面運休。まあ意を決して家に戻り、軽装に着替えて、かなりの時間を間掛けて徒歩で会社に行きましたら、壊滅的に社員がいません。それはそうです。それでも会社の方針は自分の仕事をしろです。本当、呆れる程に全くぶれない会社でした。
その後数日間も電車通勤はままならず、それでも会社の通達はどんな手段を使っても会社に来いの無茶っぷりでした。そう行きましたよただ徒歩で。
ただ、ここで酷い目に会います。通勤途中に、渋滞する国道からどこかの社用車がいきなり猛スピードで横道に抜け、あわや追突でしたが、そこは何とか躱したものの、勢い余って頭から電柱にぶつかり気絶しうずくりました。そして漸く立ち上がっては、ただ義務感が沸き、意地でも会社に行きました。
まあ出勤後も、何か片頬が痛いなと気になっては、翌日整形外科に言ったら頬骨にひびが入っており安静の向きです。打ち所悪かったら殺されていましたね。
ここで言える事は、パニックになったら誰でも容易く事故を産むと言う事です。渋滞してるからって、裏道爆走しては、ひき殺しそうになった人間を見殺しにするものかと。もっとも社用車も先を急いでいたら、そんな事知る良しも多分無かったでしょうけど。こんな事件他にもあったんだろうなと。
いや、それ以前にどんな手段でも来いと言った、会社のブラック体質も如何過ぎますけどね。
まあ確実なのは、次に大震災クラスが首都圏に来たら、間違いなく私死ぬだろうです。人間って寿命で死ぬばかりでは有りませんからね。自ら悟った時点で、実家に戻って正解です。そして大震災だけではなく、会社に殺されたくは無いものです。
また、東日本大震災の最期になりますけど、浦安のアパートに住んでいたので、浦安回りの事を少々。
ニュースでも流れましたが、浦安の半分は東日本大震災による液状化現象で震災地となりました。私の住んでいた地域は地盤が固かったので難を逃れましたが、いつもジョギングコースの新浦安は悲惨そのものです。液状化に、地盤沈下に、ひび割れた建物、そして爆撃を受けたかと思う位の長きに渡る防波堤の破損。新浦安のやや煌びやかな風景は吹き飛びます。
そして私は何度も嫌な一団を目にします。カメラを携えた関東近郊の人々。日帰り出来る被災地を眺めに来た興味津々の方々です。あの時代にインスタが無くて良かったですね。その写真使ってお茶会で自慢話でもするのでしょうか。何か腐り切っていますよ。
震災後、会社で議論すら上がらない震災復興計画にも愛想が尽きましたし、興味本位の連中にもうんざりしたし、生命の危険ギリギリ等々も有り、もうこの東京に未来は無いなと会社を辞めて実家に戻りました。辞めて正解だったと思います。人間の血の通わない東京に未来は無いと、今からでも言っておきます。もう既に遅過ぎますけどね。
あと、平成の間に買いついだiPodが何台か有りましたが、その中でもiPod classicは本当頑丈で都合10年使っています。何度道に落としても頑丈、そして豪雪の中聞き歩いてもちゃんと再生します。apple凄いですよ。国産のCDプレーヤーは1年でおじゃんだったのに、日本のメーカーは凋落はもう止めようが無いものなのですね。
緩やかだけど、年を経る毎に、出来る事しか出来なくなった日本。次の年号で挽回出来るかどうか、若者に期待せざる得ませんが、それは詮無き事でしょう。
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