夜の街を歩く「私」は、そのほかと異なった視点から「街」を見守っているかのよう。やがて空が白み出した頃、「私」は去り行き、また新しい今日がはじまる。そんな当たり前のひとこま。日常。それがこの方の手にかかれば、美しく仄かな光を伴い出し、かけがえのない奇跡に変わる。まさしく魔法の紡ぎ手だと思います。短いからこそ奥行がとても深く、読後感が爽やか。素晴らしい物語です。あなたもぜひ、「私」と一緒に、夜の街を散歩しませんか?
世知辛い日常をふっと忘れされる、ふれあいと暖かさは、街の片隅にあちらこちらと漂っている。束の間の安堵をふと味わえたような、優しい気持ちになる物語です。
正に純文学の醍醐味を短編に詰めたような、楽しい作品です。何かあるだろうと最後まで読んで正解でした。地の文が少ないにも関わらず、情景が頭に浮かぶ上手さも凄いと思いました。端的に言葉を繋いでいるだけなのに、必要以上の情報を読者に与えない。なのでとても読みやすく、読了後は爽やかな気持ちになりました。良作を読ませて頂き有難う御座いました。
あんまりネタバラシしたくないので明言しませんがめちゃくちゃ騙されました。なんだこのオチ。持っていきかた、最高。ほんと読み返したくなる。
「街」という存在を、上から下から斜めから、いろいろな角度で「ある生き物」の目線で語られています。その存在特有の視点であることが最後にわかり、深く納得いたしました。それにしても、ベンチの長さについて考えたことなどなかったので、目から鱗が落ちた気分でした!