第20話

「何番のホームに乗ればいいのか分からない?」

「は、はい。。」

「それは困りました……皆様はちゃんと分かっておられるのですが……」


駅員の焦った表情が、私の心を焦らせる。


「ど、どうすればいいんでしょう」

「……まあ、乗り間違えて魂が消えてしまうことはありませんので、そこはご安心を」


え。消えるの?間違えたら。なにそれこわい。


「んー、行先は来世ですので、3,4番ホームをご利用ください。そして、3,4番、どちらから来た電車に乗っても大丈夫です」


なんか、適当だな。


「わ、分かりました」


駅員に言われたまま3,4番ホームに行くと、既に電車が止まっていた。

これか。


そして私は電車に乗った。


そう言えば、ホームにも、車内も、人の姿はなかった。ただ、たまに椅子の軋む音が聞こえたり、車両の繋ぎ目のドアがガラリと開いたりするから怖いのだけど。さらにサキの返事が無くなったのが怖い。


この世に戻るときには無かった恐怖が、私の手足を湿らせ、唾を飲み込むので精一杯だった。

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