第19話 来世
「来世に行くか、あの世に留まるか、どっちがいい?」
「来世」
「本当にそれでいいの?」
「うん」
「じゃあ俺もついていくよ」
「……うん」
サキの姿はなかった。
でも声は聞こえる。
分岐がある。
来世へと続く道へ、歩いた。
国道のような道で、大きなトラックが走っている。
多分これらは死者の魂とかを運んでいるんだろうなと思った。道沿いにお店とか古民家なんかがあったけど、どこも灯りはついておらず、真っ暗だ。
歩き始めて20分ほどで駅が見えた。
あの時と同じだ……。と、プラットホームに向かい、切符を買おうと思ったが。
「ない。」
券売機がなかった。
「切符はいりません。あなたの魂があれば、それで電車に乗れますよ。」
改札口前に立っていた駅員らしき人にそう言われ、
「サキ、私、どの電車に乗ればいいのか分からないよ?」
「大丈夫、優衣ならわかるよ」
と言葉を交わして、改札を抜けた。
「何番ホームなのか教えて、サキ」
その言葉はプラットホームに響いて寂しく消えた。
「……サキ?」
返事が帰ってこない。
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