第13話
空と自分を比べるものじゃない。
私は鳥居を潜りぬけ、境内の前まできた。埃。苔。黴(カビ)。風はさっきよりも強く、落ち葉を踊らせた。
ここで一夜を明かすのも悪くないな。
そうして階段に座り込んだ。
--……あ。
寝てしまっていた。
意識が戻ってからというもの、眠気がめっぽう酷い。
辺りは墨を塗ったように暗い。
今、何時?
すかさず携帯をみてみる。
午後5時22分。
神社に着いてから約2時間ほど経っていた。
やばい。
帰らないと。
結局自分の中にある違和感というものは消えないままだった。
鞄を持ち上げて神社を出ようとした。
けど。
……
帰っていいのか、これ。
なぜか鳥居を抜けるのを躊躇った。
なんか、帰っちゃ行けない気がしてきた。
え、なんで?
自分を止める何かが、私を取り巻いている。
なんだ。
なんだこれは。
拭いきれない違和感が、徐々に大きくなっていくのを感じた。同時に息がしずらくなる。
苦しい。
はあ。はあ。
頭の中に情景が。
走馬灯のように浮かび上がる。
走馬灯なんて見たことないけど。
暗い道-声-選択-この世-戻る-トラック-店-古民家-電車-トンネル-駅-マイガハラ-写真-大地-田んぼ-改札-
生きる--------------。
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