第11話 再度2
日付を確認してみたが、自殺した後、退院する前に撮られている。
……いやいや、ありえない。この時は病院にいて……
……病院に……いたんだよな……?
なんだか不安になってきた。
鼓動が高鳴って落ち着かず、やむなく途中下車してまで内田さんに聞いてみることにした。
「はい、その日は確かに病院におられましたよ。ぐっすり眠られていたと思います。」
……内田さんにそう言われてホッと胸をなでおろした。自分の記憶に自信がなかった。
ん?、ではますます怖いではないか。誰かが私の病室に入って携帯を盗み、駅と風景を撮ってからまた同じところに戻す……いや、そこまでして残しておきたかったのか。違うな。よくよく見ても、その写真には何か親近感があって、撮り方も私とよく似ている。
私は駅の看板をよく撮るけど、その時は携帯を横向きにして、光の加減を調節しながら、ツヤ出しのエフェクトを使って撮影する。これは全く同じだった。
やはり、私が撮ったのだろうか。
内田さんの言い分が正しければ、iPhoneの日付けが間違えてるんだ。
……
疲れた。
考えるのも面倒になってきて、再び外を見た。
暗い。トンネルの中だった。
トンネルを抜けて、確かあと3つか4つほど駅を通過すると、子淀(こよど)という駅に着く。
私が自殺を決めた駅。
私を取り巻いているこの妙な違和感は、ここにくれば解放されるかもしれないと思った。
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