第10話 再度
数日後に退院し、私はまたあの街に行ってみることにした。
意識を取り戻してから、ずっと引っかかっていることがある。頭の中で引っ掛かっている、違和感。
ある日の朝、私は最寄り駅の笹柳から下りの電車に乗った。私は普通なら高3。
本格的な寒さに突入した1月。本当ならば受験生だけれど、退院後、叔母や学校の先生と話して退学する事にした。
まあ半ば叔母に強制させられたが、先生にもどの道出席日数が足りずにこのままいけば留年だと言われた。それは勘弁だ。周りから見れば高校生ないし大学生なのだろう。しかし今の私は自殺に失敗した無職無所属の社会不適合者なのである。
通勤通学時間を考慮して少し出発時間をずらしたのが良かったのか、平日のその時間帯はかなり空いていた。
窓際の席に座ってボーッと外を眺め、ふと携帯をみてみる。中学の時にサキと遊んでいた時に撮った風景のロック画面をぼやっと見ながら指紋認証でホーム画面に。
なんとなく写真フォルダを開いてみる。
ん?
最近の写真、の欄に、2枚の写真を見つけた。
最寄りの駅、笹柳駅の看板の写真と、ホームから撮ったであろう風景。
いつ撮ったんだろう。
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