第5話

ぱち。



目が覚めた。まだ電車の中にいる。

もう長いこと乗っている。

外は少し明るくなっている。気がする。

寝る前よりも。薄暗い感じ。


これなら外の看板を見れるかもしれない。

しかし山とトンネルだらけでなかなか駅につかない。

そのトンネルの、長いこと。


多分15分以上はトンネルの中だ。携帯を取り出すも圏外。いつ外に出るんだろう。


!?



眩しい。

眩しさに目が追いついていない。真っ白の景色から、徐々に風景が垣間見えてきた。

どうやらトンネルを抜けたようだ。


どくん。


鼓動が高鳴る。

そしてはっきり聞こえた。


【次は終点、マイガハラ、マイガハラです】


いつの間にか若者のハキハキした声に変わっていた。


マイガハラ。


聞いたことのない駅名だ。でも次が終点らしい。外は明るく晴れている。

車窓から、民家、田んぼ、店がみえた。


その時私は、生きていると感じた。大地の恵が潤いが、とても愛おしかった。砂を噛むような気持ちだったのが一気に清々しい。やっぱり生きているって素晴らしい!こんな万物、他にあるだろうか。


車窓からだけでもこれだけのことが伝わってくる。幾分経って、大きな建物やお店が多く見えてきた。


【間もなく終点、マイガハラ、マイガハラです。お出口は〜】


アナウンスが響き渡る。そうしてホームが見えて、電車が止まった。

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