第4話


薄明かりの車内。なんかあの有名なアニメ映画のようだ。と胸が弾んだが、不安も少しあった。


「電車に乗ったら終点まで行くこと。途中で降りたりしてはいけない」と、そう言われたから、一体どこまで行くのか……。


辛うじて聞き取れる車掌の低い声が車内に放たれて吸収されていく。けど正直聞いたことない駅ばかりだ。

他の言語とかでなく、平仮名の羅列でもなく、本当によく判らない。駅に着く度に看板を見てみるけど、やっぱり理解に苦しむ。


夢かな。


とも思い始めた。

全部私の妄想で、夢かもしれない。

こんな時って、ほっぺた抓ってみるんだっけ。


むぎゅ。



……痛い。


空から降ってきた雨の粒が肌に当たって弾けた時も、

歩く時に踏んでいた砂利の音を聞いた時も、

私は妙にリアルな空間を感じていた。


夢じゃないのか。


そう思ったらなんだか安心して一息着いたようで、深く眠りこけてしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る