第2話

世界が自分を中心に回っていると、本気で思い始めたのは中二の時だった。常に自分の周りには誰かがいて、同性とつるむのは面白く、異性とこそばゆいやり取りをするのも気持ちがよかった。

親からは真心を込めて育てられ、近所のおじさんやおばさんも人がよく、とてもかわいがってもらった。

学校では教師から、成績、授業態度、その他行事活動において積極的に取り組んだことを高く評価されていた。

物心ついた小学生の時からそんなふうで、成長するにつれ、それらはより顕著になっていった。


全ての理由は、この容姿にある。


顔は明らかに小さく、目は大きく黒目がち。鼻筋も滑らかに高く、唇は閉じるといつも微笑みの形をしていた。

背丈はその年の同性と比べても頭二つ分は高く、胴より脚の方が長い。


容姿端麗、頭脳明晰。周りからはよくそう表現された。

フィクションの常套句が自分には相応しかったのだ。


何かを成し得て世界を変える気はさらさらなかったが、自分が動けば世界も自然と自分の動きに合わせてくる。

本当に、そんなふうなことを感じていた。


大学に進学した、19の夏までは。

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