Act.151 大激突!一騎当千の冒険者達!
北方の凍気吹きすさぶ中、
そこは
先陣を切ったのは
相対するは、未知の大陸列強を誇る
数
「いいかい、皆! 今回は彼の矜持に乗ってやるとしよう! どの道あのリュードは、考え無しにラブレス兵の命を奪おうものなら問答無用でこちらの命を取りに来る――」
「けれど果たし合いの形を所望とあらば、拮抗の後負傷した相手は戦力外と判断し手を下さぬ事! これが第一、仁義を最優先とする! 」
「せやけどミーシャはん! こないな数の敵……今まで手合わせした事なんてあらしまへんで!? 普通に戦こうてたら拉致も空かん言うもんや! 」
押し寄せる敵総数は
それがただ討ち捨てて進める指定害獣の
だがしかし……眼前に大挙するは、
それでも
雪崩れ込む様に敵陣へ突撃した生命種の仲間達が、そんな恐るべき相手を前に獅子奮迅を見せて居るから。
「この様な戦いで、貴殿の如き忍びとやらと相見えるとは! 我、ゴブリンロードはフールゴンも恐悦至極に尽きる! 尋常に勝負! 」
「俺もまさか……くっ!? ゴブリンロードが、そんな仰々しい名乗りを上げるとは思わなかったぜ! 」
それを率いるロードは、
「女性とは言え侮れぬ! 貴女の様な方を女傑と称するのだろう!
「すわっ!? ……ああ、うん。あたしもね? まさかオークロードから騎士道の言葉が語られるとは夢にも思わなかったわ(汗)。けど……あたしの怪力と張り合うなんて上等――相手にとって不足なしよっ! 」
振るう
ツインテ騎士としても、まさかの彼女の怪力に張り合える騎士が
「ね……狙い難いったらありゃしないわよ! 敵陣が皆して任侠じみた戦いに終始してたら、私も弾丸どこにブッ込めばいいか――」
「オリアナ、言っておくけどね! 間違っても、バカみたいに威力の高い殺傷用弾丸を撃つんじゃないよ!? 」
「そこはちゃんと、殺傷能力を抑えた特殊弾使ってるから信用して!? 」
目にした戦場は、よく知る戦いと大きく異なる状況に――
そして口にした通りの非殺傷弾が、重厚な鎧下に着込む
二大勢力の激突はまだ始まったばかりであると言うのに、両者の昂ぶりはすでに最高潮を迎えんとしていた。
∫∫∫∫∫∫
リュードの宣言はどうやら真実の様で。
眼前では目を疑う
後方で確認できる彼らは、私達の背後を作戦的な成り行きは抜きにしても……卑劣に背後から集団で襲い掛かったりなどは欠片もしていません。
いずれも正々堂々、己のツラを私の頼れる仲間達へ向け……さらには
直前にあのブラウロス導師の卑劣極まる仕打ちを目にしていただけに、何と彼等の清々しい事か。
意気揚々と妖魔系異獣を相手取る算段で乗り込んだ私にまで、罪悪感を植え付けて来ます。
同時に――きっと頼れる仲間達も思考しているであろう考えに辿り着きます。
これほど仁義と任侠を体現できる、人ならざる人達へ手加減などむしろ失礼に当たる。
それは個人の強さが指し示すものではない……冒険者と言う仲間と共にある点でのもの。
そんな思いのままに、私は堂々それを宣言する事とします。
「いいかい皆! これほどまでに
「私達が賢者ミシャリアを初めとした冒険者であると言う、確たる証をねっ! 」
陣の後方――
傍に護衛となるウィスパとサーリャを引き連れた私の宣言へ……切り結ぶ仲間が視線は敵に――しかしその面持ちには「来たか! 」との期待を込めたしたり顔を浮かべます。
それに返す様なしたり顔を浮かべた私は、ウィスパとサーリャを含めた精霊種への協力依頼を飛ばします。
「精霊種の皆、待たせたね! 私はこれより自分史上初となる、この
「全ての仲間へ向けた、文字通り最強クラスの装填術式だ! その際の護衛はウィスパとサーリャに任せたい! お願いするよ!?素敵なお二人さん! 」
『これほどまで早く、主との共闘がなる。私は幸せ。賢者ミーシャ……護衛、お任せあれ。』
「おーっ! あーしもミーシャさんを、全力全開でお守りするサリー! パパの娘、ここにありサリー! 」
二柱の護衛へ労りの笑顔を送り、居並ぶ精霊達と首肯しあいます。
生命種の仲間達の一騎当千へ、さらなる一騎当千の力を上乗せする……効果範囲と威力の規模に於いて今まででも最高クラスの精霊共振装填術式展開。
昔の自分では成しえる事など不可能な、最大最強の攻撃準備に入ります。
と――
「話には聞いている! そう易々と術式展開をさせると思うてか! 」
響く怒号はあのリュード・アンドラスト。
その声が終わらぬ内に、飛翔体の接近に気付いたウィスパが
弾かれたそれの正体を悟るや、私は壮絶な疑問が脳裏を走り抜けます。
「――っとと……流石はかの死霊の支配者! こちらの要が私であることは、すでに織り込み済みだね! 宣言するや私を狙ってくるとは! だがしかし――」
「ファッキン! こいつぁ弾丸だろう!? いったいどこから飛んで来た!? 」
「だね、グラサン! 私も今しがたそれを思考した所――うおわっ!? 」
術式展開どころか、
あのリュードが放つ双銃の弾丸です。
しかし彼は戦いが始まるや否や、術者故にと部隊の後方へ下がったのを確認した所――そこから何をどう足掻いたら、私の所へ銃弾が飛んで来るのかと困惑に揺れてしまいます。
そんな中……攻撃の正体を見極めたのは、空気を裂く音で弾道を見切ったしーちゃんとジーンさん。
それは――
「ミーシャはん! こいつはとんだ強敵やで! いや、それは最初から分かってた事やけどな……今回はレベルとかそないな話しやあらへん! 」
「うむ、
「……もしかして、もしかすると!? 二人ともそれはアレかい――あのオリアナがマスターしてた跳弾攻撃を、そのお師匠たるリュードがマスターしていない道理はないと言うことかい!? 」
私の術式展開を邪魔してくる弾丸をウィスパに任せつつ問えば、二柱の精霊からその通りの首肯が返され――
弾かれた様に今、敵味方入り乱れる戦いの場を睨め付けます。
そこであらぬモノを……あらぬ攻撃手段を目撃してしまうのです。
「なるほど、これはある意味理にかなっているね! どうりで敵前衛の兵が皆、
「高低差も、トロールにオーガーまでいるならば申し分ない! それが振り回す鋼鉄製の武器さえ利用すれば、そこへ跳弾させて私を狙い撃つなど……彼には造作もない事だろうねっ! 」
既存の戦い方などザガディアスの彼方へと吹き飛ばす、ネクロスマイスター リュード・アンドラストの恐るべき実力の一端が……この私を狙い定めていたのでした。
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