第10話 墓前の誓い
「ショウ大丈夫か?」
ライさんに抱き起こされる。
意識をなくして倒れてしまったらしい。
見渡すと、白装束が倒れていた。
「助かったの?」
「あ、ああ、・・・お前が倒した。」
「ん?」
どーやったんだ?
身体が熱くなったまでは覚えてるけど?
・・・・
回りを見渡したが、母ちゃんも、リンねーもいない。
「二人は俺が埋葬した。」
ライさんの顔をよく見ると、泥と涙でぐちゃぐちゃに汚れていた。
「う、う、う、うえ、うえっ、うえっーーーーーーーーーー!!」
オレは、地面に顔を擦り付け、号泣した。
「・・・大切な人を亡くした気持ちは、・・・よくわかる。
好きなだけ、泣け。」
どれだけ泣いたのだろうか?
ライさんは、隣に座って、遠くを見ている。
いつの間にか、夕暮れになっていた。
林が茜色にそまっている。
泥と涙の顔に、風があたりひんやりする。
「ショウ、二人にお別れをしよう」
道の端に土盛りが2つ、その上に竹で作った板が刺さっていた。
『興国の舞姫』『六龍の花嫁』
とライさんの字で書いてあった。
「あいかわらず、きたねえ字だな」
一生懸命書いたのは分かるけど、文字の大きさがバラバラで読みづらい。
ちょっと、心がなごんだ。
「うるせい!お前だって字かけねえじゃねえか?」
はにかむように答えるライさん。
俺たちは、お墓の前で3回土下座をして、土盛りを見つめる。
「
いつのまにか、暗闇になっていて、魔光球の光だけがお墓を照らした。
ライさんは母ちゃんの墓の前でうなだれている。
「母ちゃん、リンねー聞いてくれ。
ふたりの仇は俺がぜったいとってやる。
王さまに復讐する!
それまでは、絶対生き延びてやる。」
俺は、3回お辞儀して立ち上がった。
「ショウ・・・.俺たちがだろ?」
ライさんも立ち上がり俺の方を見る。
「頼むよ、『道化のライ』さん」
「ちっ、俺の通り名知ってやがったのか?」
「カッコよくないけどけど、頼りになるって母ちゃん言ってた」
「ちっ」
左手の人差し指で鼻の下を擦りながら、はにかむライさん。
「ショウだけは俺が絶対守る。」
天を見上げ、ライさんが言う。
天に登った、母ちゃんたちに誓うように。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます