第4話 亡国の六龍

「うーむ。」


うめぼし巫女が腕を組んで考え込んでいる。


「巫・女・さ・ま」


母ちゃんが、心配そうにうめぼしの方を見ている。


しばらくすると、シワシワの口が動き出した。


「・・・レインよ。死んじまった旦那もレアもちじゃったな。」

母ちゃんの目尻に涙がたまる。


「坊主、よく聞け。

レアもちってのは、早死にしちまう運命なのさね。

20歳までにほぼ死んじまう。

長生きしてもま30歳までには間違いなく寿命がきちまう。

強い力を使えるようになるが、体内の魔気の消費も大きく通常なら20歳までに枯渇しちまうのさ。

この世で魔気なくなっちまったら、病気とかの抵抗力と治癒能力がなくなっちまうから、ころっといっちまうのさね。」


ズズ。

母ちゃんの鼻をすする音に振り向くと涙をうかべている。

オレの父ちゃんも、レアもちだったらしい。

確か、シン帝国に立ち向かった英雄だったって、母ちゃんは、いってたけど。

誰もそんな話しないんだよなあ。

今度、ライさんにでも聞いてみよ。


「31」

母ちゃんが呟く。


「ああ、あいつは頑張ったからね~。

あの事件がなかったら、もう少しいきられたかもねえ。

まっ、あんたが持ってる力はそんな物騒なものなのさね。」

うめぼしがオレに語りかける。

「父ちゃん知ってるの?」

「この街の者は、みんな知っとるさね。

・・・話すことは禁じられてるがの」

うめぼしが目を細める。

母ちゃんが泣き出す。



「亡国の六龍、リュウ=ホウと呼ばれた男の事をね。」

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