社会の異分子として、今何をするべきか
創作論というほどではないが、小説を書くにあたって、“はぐれ者”や“ならず者”、“孤独者”といったキャラクターを描きたい欲求がある。
ごく一般的な普通の人が非日常に巻き込まれてしまうタイプの話は、嫌いではないが、積極的に食指が伸びる方でもない。
むしろ、どこかこの社会に馴染めず、生まれ持った性質のせいでどこか疎外され、人の営みの中に溶け込めていない“異分子”たちの物語に強い興味を抱く。
格好のついた呼び名だと、
保育園のお遊戯やお歌に目もくれず、そっぽを向いて自分勝手なことをしている子が、そのまま大人になってしまった。そんな人物が、私には好ましいのだ。
彼ら彼女らは、何も悪くない。
生まれ持った性質が、生まれてきた時代環境の型に合わなかっただけだ。
そうした異分子の歴史は恐らく、人類の歴史そのものに等しいはずだ。
そして、そういった人々はどうしようもなく、死にやすい。
先回語った、社会の断崖に立ったようなブログを書く友たちも、そうだろう。
ところで、どうやら世間は今現在、緊急事態だという。COVID-19だそうだ。
なるほど。
以前から書いているように、今一つピンと来ていない。
流行り病で人が死んでしまうことの、なにが大変なのだろう。
今までと何も変わらないではないか、と、私は思ってしまうのだ。
ただ、こうやって世間の騒ぎに実感が伴わないことはよくあることなので、「そういうものなんだろう」と諦めている。何だか分からぬが、緊急事態だというなら付き合おう。
世の異分子たちも、同じ気持ちなのではなかろうか。
なんとなれば、彼らは常時が非常時で、この娑婆に生を受けた瞬間からこっち、ずっと緊急事態だからだ。
この世にあらまほしき性質を持って生まれてこられなかった人々にとっては、こうして疫病にひっくり返る世界を見ても、首をかしげるばかりだろう。
私も、訳も分からぬうちに行きつけの店が次々と臨時休業してしまって、途方に暮れているところだ。
やはり私も異分子であろうか。そうなのだろうな。あまり認めたくはないが。
だから、と繋げてしまうのも抵抗があるのだが。
自分だから語れる言葉というか、できる動きのようなものを、探してみたいと思っている。
友よ、あなたも何か考えてみないか。
世界中が死に怯える中、長い間、死について考え抜いてきた同志よ。
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