寿命と貯金

 私は、あなたに何ができるのだろう。


 親愛なる自殺志願者へ、死にたいまま天寿をまっとうするために必要なものを用意することだろうか。


 寿命はどうにもならない。原因と理由がどうあれ、死んだ日が寿命である。だが、貯金はどうにかなる手だてがあるかもしれない。


 やはり、ベーシックインカムだろうか。


 働かざる者うんぬん、自己実現かんぬんという句に理解はする。


 だがまずもって先立つものは預金通帳に記された十分な数字だ。


 最低六桁、できれば七桁のアラビア数字が並んでいなければならない。


 五桁ではいけない。週に一度、行きつけのラーメン屋で700円ちょっとの豚骨を食っても懐に痛みが走らない金額は、五桁では足りない。


 ここまで書いて、自分自身に驚愕している。


 私は、この場で政治的な提言などしようとしている。我が友へと、手始めに月十万を問答無用で寄越せと書いている。否、差別があってはいけないから全国民にである。


 空虚な割に、というか空虚だからこそ図々しいのかもしれない。


 他者からの施しというほどでもないが、貰い物を拒んだことは未だかつて無いし、なんとなれば、言うだけは無料と思っている節がある。


 よもや政府をたかったところで命までは取られまい。


「日本よ、先進国たる気概で私を米寿まで生かして見せよ」


 と、要求するのもやぶさかではない。米寿は言い過ぎかもしれない。喜寿でもいい。なお、私の祖父は七十四歳で没した。惜しかった。


 資金が調ととのえば出馬も考えよう。


 財源の問題には腹案がある。国益たる国民の命を守るためという(屁)理屈で防衛費として計上するのだ。この国で二十年余り生きてきた人の霊感であれば、通りそうな気がする。


 冗語を終え、再び最初の命題に立ち返る。


 親愛なる友へ、私ができることは何であろうか。


 自分にできることといえば、せいぜいが読み書きである。算盤はできない。小学生の時、算盤の宿題がどうしてもできずに完徹を余儀なくされた。なので友の言葉を丹念に読み取り、返信するのが関の山だ。


 つまり、何か話したいことがあれば、コメントに書いて欲しい、ということだ。そうしてくれれば拙い返事を書こう。

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