第35話 犯人捜し
「おっはよー!」
クラスメイトの
「朝からうるせぇなあ……」
悪態を吐くのは髪を金色に染めたいかにも不良という風な少年。
「あら、挨拶は大事よ箕島君? おはよう未来さん、今日も元気ね」
そう返すのは学級委員の
「その通りです。箕島君、君は日々の態度からして――」
香蓮の言葉に続いて箕島を糾弾するのは
「だーッ!、もううるせぇつってんだよ! 寝不足なんだから静かに寝かせやがれ……」
そうして机の上に突っ伏して眠りに入る箕島。
そんなクラスの様子を観察する聯。そしてハク。
この中にサードがいるかもしれない。いや勿論、他のクラスに潜んでいる可能性も学年に潜んでいる可能性だってある。それでも自分達の姿を確認したから襲ってきた。その事実から。自分達のクラスメイトが一番怪しいと二人は睨んでいた。
「おっはよー聯っち、ハクっち~。。今日もラブラブ?」
未来は二人に近づき聞いてくる、元々、席が近いのだ。
「お、おはよう」
「おはよう未来」
「あれ、聯君なんか様子変?」
「そんな事無いよ」
「本当にそうかなぁ~」
顔を近づけてくる未来。それを止めるハク。
「あんまり私の彼氏に近づかないでね?」
「ありゃりゃ、独占欲強いなぁもう。ただ心配してただけだってば……昨日あんな事あったし……」
顔を俯かせる未来。察する聯とハク。
「昨日の避難訓練……だよね」
「私、ホワイト・ゼロの近くに住んでたから白紙化現象って怖くって……聯君に言う事じゃないけど」
「俺はもう克服したから……」
ホワイト・ゼロの唯一の生き残り。その有名度はこの学園でも健在だ。
「克服したから髪、白く染めたの?」
ぐいぐいと突っ込んでくる未来。ハクがそれをどうどうと制する。
「あんまり人のパーソナルな部分を追求しちゃだめよ未来」
ハクに加勢して未来を止めてくれたのは香蓮だった。
なんとか引き下がる未来。どこか名残惜しそうにしている。
「聯さんも大変ですね。何かあったら私にぜひ相談して下さい!」
そう言うのは戒だ。彼は次期生徒会長の座を狙っている。なので票集めに必死なのだ。
「ああ何かあったら言うよ、ありがとう」
「いえいえ! これも学級委員の務めですから」
ホームルームのチャイムが鳴り響く。
先生が入ってくる。先生の名は
果たして先生がサードした変装姿の可能性もあるのだろうかと聯は考える。
全員、容疑者。味方のいない闘技場にでも放り込まれたような気分だった。
先生の号令と共に、今日の学校生活が始まっていくのだった。
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