第31話 エピローグ②


 AoB新本部の食堂、定食を食べる者が二人。

「確かに一生離さないとは言ったけどさぁ……」

 れんの隣にべったりとくっつくハク。

「だってこうしてないとまた私、白紙化現象を引き起こしてしまうかもしれないでしょ?」

「だからそれは俺のrestorationで封鎖核を消したからもう大丈夫だって……」

「むー、私がこうしていたいの。ダメ?」

「……いや流石にずっとはちょっと暑苦しいというか」

「な、なんてひどい事を!」

 そこにアーサー・ワンが現れる。

「相変わらず仲のいいことだ」

「あ、ワン。私と聯の学校の件だけど……」

 ハクが喜色満面の笑みで聞いてくる。ワンは苦笑しながら。

「ああ準備は整っている、いつでも学校に通える」

「やった!」

「良かったなハク、夢だったんだろ? 学校通うの」

 前から知ってた風に言う聯だが知ったのは最近の話だ。

「何言ってるの! 聯だって学校、行きたかったでしょ?」

「それは……まあ」

「だったら喜んで。二人で学校、私すっごく楽しみにしてるんだから!」

「……ああ、そうだな」

 微笑ましい時間が過ぎていく、数週間前には世界の存亡を巡って大きな戦いが繰り広げられたとは思えない。

「学校の名前なんだっけ」

「目白高校だって」

「うっ、よりによって白って入ってんのか……」

「あら、私も『ハク』よ、私の事苦手?」

「……ハク、なんか性格変わったよな」

 そこにワンが聯に耳打ちをする。

(これが彼女の本来の性格だ、受け入れてやってくれ)

 そう言われてしまってはどうしようもない。

 しかし、まだこの世界には不安な要素があった。

「親父が使ってたタイプ:ライター……まだ見つかってないんですか?」

「ああ、AoBを総動員して探しているが見つからない」

 持ち去ったのは恐らくサードと呼ばれていた少年。

 本当に戦いは終わったのだろうか。一抹の不安を残しながら、聯とハクは日常へと帰還していくのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る