第26話 黒の追撃
AoB本部から逃げ出す糺とホワイト、その前に現れる二人組。
「けっ、今度はテメェらか」
既に変身しているファクター・ホワイトとイレイザー化したはじめだ。
『血を流してやがるな糺博士よぉ! AoBの連中になんかやられたかぁ!?』
『今、あなたの相手をしている場合ではないんです!』
ホワイトが――rifleと打ち込み銃身の長い銃で牽制する弾を放つ。しかし、それを躱す事すらしないファクター・ブラック、パワードフォーム。
『効くかッ! ここで決着だ糺!』
「はっ、お前らも運搬役だよ……! 七つの
呻き苦しみだすはじめ、ホワイト。
『どうしたっ、はじめ!?』
「共鳴してんのさぁ! 今、ハクの中にある五つの封鎖核となぁ!」
『封鎖核だと……!?』
ブラックこと然は封鎖核の詳細を知らない。それが何をもたらすか考えが及ばないでいた。ただ目の前のはじめを救いたいという思いが湧いて出る。
『はじめ! どうしたんだはじめ!』
『イレイザー状態を……維持出来ない……ううっ!』
『維持しなくていい、今すぐ解けはじめ!』
言われるがままイレイザー化を解くはじめ。すると彼女の身体の中から肉塊のようなモノが飛び出しオフィスビルの方へと飛んでいった。
『ドクター糺……私は……ぐうう!』
「お前も手放しちまえ! タイプ:ライター・バックスペースさえあれば問題ない!」
ファクター化を解くファクター・ホワイト。するとはじめと同じように肉塊が身体から飛び出していく。
「アハハハハッ! これで七つの封鎖核によってハクの超感覚を完全に封じられる! 世界は真白に塗り替わる!」
『させるかよ!』
『行かせません!』
再びファクター・ホワイトに変身したサードがブラックの行く手を遮る。
『白黒付けてやる!』
『ハハッ!』
ブラックが――bladeとホワイトが――saberとそれぞれ打ち込む二人。
刀と軍刀がぶつかり合う。火花を散らし斬り結ぶ。上段下段横一閃。剣戟が繰り広げられる。斜めの袈裟斬り、下から上への斬り上げ。どれもが刃と刃がぶつかり合う。最終的に共に剣が折れてしまう。
次に二人が撃ち込んだのはブラックが――launcherとホワイトが――rifleと打ち込み、それぞれ銃器を生み出す。銃撃戦が繰り広げられる。威力重視のブラックと、正確さ重視のホワイト互いに距離を取り弾を撃ち合う。ブラックの弾は着弾すると爆発を巻き起こした。
互いに駆け抜けながら弾を撃ち合うので当たらない。面で制圧しようとするブラック。それを予測し遠くから点で狙うホワイト。互いに一歩も譲らずそれは千日手に思えた。
武器を持ちかえる。――mirageとブラックが打ち込む、現れる大量の幻影。ホワイトはその光景に対し対処法を思いつかないでいる。
――gunと打ち込むと遠くを狙える銃に持ち帰るブラック。距離を取ったホワイトを撃つ。
全幻影から放たれる一斉射。どれが本物でどれが偽物か分からないまま。まともにその銃撃の雨を喰らってしまうホワイト。正解は全て本物。パワードフォームのmirageは全ての幻影に実体を持たせるのだ。
倒れ伏すホワイト。腐ってもビーストフォーム。まだやられてはいない。
『ま、まだだ……!』
『あがいてみろよ』
――bombと打ち込む。最近はファクターに使われっぱなしだったブラックの
『チッ!』
――grenadeと打ち込むホワイト。爆発と爆発で威力を相殺する算段だ。
ぶつかり合う、しかしホワイトの誤算があった。mirageはまだ解かれていない!
大量の爆弾が宙を舞う。それに対し一つの手榴弾では相手する事など無理だ。
大爆発が起きる文字が荒れ狂う大波のように全てを飲み込んでいく。黒黒黒黒黒黒……黒一色に世界が染め上げられる。
『決着だ』
『ま、まだ……!』
――absolute、そう打ち込むブラック。
『OK absolute break start』
タイプ:ライターの電子音声が鳴る。
鎖のような文字列がホワイトを絡め捕る。そのまま宙に吊るされるホワイト。
ブラックの腕に集束する巨大な槍。それをホワイト目掛け投げつける!
――finish
『OK absolute finish!』
『ぐっああああああああああああ!!』
槍に射貫かれ悲鳴を上げるホワイト。爆発が起きる。地面に落ちるホワイト、ファクターが解除されサードが姿を現す。
「チッ、役立たずが」
サードの頭を踏みつける糺。その腕からタイプ:ライター・バックスペースを取り外す。
『テメェ何を!』
「知れた事、世界を書き換えるためにはこれが必要なんだよ」
自分の腕にタイプ:ライター・バックスペースを巻き付ける糺。
「最悪な事に俺の不死身性にも弱点突かれちまったしなぁ防御代わりにもなんだろ」
――overwrite
そこに凶悪な姿のファクターが現れる。まるでその姿は鬼か悪魔のようだった。
『テメェの性根が現れてるぜ……!』
『どうでもいい……メインディッシュの前にお前から潰してやる』
禍々しい白と黒の鎧武者が激突する。拳と拳で殴り合う。ブラックのラッシュ、しかしそれを全て受け止めるホワイト。そして返しとして一撃を見舞う。ブラックの顔面にモロに入る拳。吹き飛ぶブラック、しばらく空を飛びさらに地面をさらにしばらく転がりようやく止まる。
『ガハッ!? なんだ……この力量差……!?』
『お前らと俺じゃ身体の造りが違ぇんだよ!』
一気にブラックに距離を詰め、踏みつけようとするホワイト。それをすんでの所で転がって躱す。しかし立ち上がる前にブラックへ拳が打ち下ろされる。まともに喰らう。
『グハッ!?』
苦しく呻くブラック。そんな二人の間に一人の影が入る。
『あん? ファースト、なんのつもりだ』
『グッ……はじめ!?』
「もう止めて下さい糺博士……あなたの目的は達成しているはずです!」
一瞬の沈黙、しかしそこから糺の怒号が飛ぶ。
『……ああ?! なんで俺が此処で引かなきゃならねえんだよ!』
構わず拳を振り下ろそうとするホワイト。しかしはじめの身体をブラックが横に押した。真正面から拳を受けるブラック。地面に叩き付けられ、地面にはヒビが入る。
「然!」
ブラックの下に駆けよるはじめ。その光景に嫌気がさしたように首を振りながら、オフィスビルへと戻っていくホワイト。
『ぐっ……はぁはぁ……』
「然! 大丈夫なの!?」
ファクター状態を解除する然。見るからに満身創痍だった。
「はじめ……これを、後輩に、ファクターに届けるんだ……」
それは腕から取り外されたタイプ:ライターだった。はじめは思わず首を傾げる。
「どうしてこれを?」
「頼むはじめ……間に合わなくなる前に……!」
「分かった、死なないでよ然!」
「ああ、まだお前のお願い、叶えてねーもんなぁ」
ホワイトの後を追ってオフィスビルへと駆けるはじめ。
その後ろ姿を確認して然は意識を失った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます