第24話 封鎖核


 研究室とドアに書かれた場所の中、AoB本部内の部屋の一つ。

「これでマスターロットと呼ばれるイレイザーから摘出した封鎖核ボックスは四つ目か」

 黒衣の男、アーサー・ワンが呟く。

「これ、ぶっちゃけなんなんでしょうね?」

 そう聞くのはアーサー・ツーだ。

「人間をイレイザーに変えるだけなら、観測封鎖装置BOXだけで充分なはずです」

 そう言ったのはアーサー・スリーだ。今、この場にはこの三人しかいない。

封鎖核ボックスの資料だけならば、れいと共に研究している時に見ている。要するに人間の感覚を意図的に遮断出来る器官の事だ。肉体に埋め込むことで脳からの指令でそれを実行出来る。タイプ:ライターの原型にもなったモノでもある」

「つまり、タイプ:ライターは外付けの封鎖核だと?」

「その能力や効果は大きく違うがね」

「それで本題なんですけど、これをハクちゃんに近づけちゃいけない理由と、それなのに処分しない理由は何ですか?』

 ツーが挙手して疑問を呈する。

「恐らくこの封鎖核はハクに対して作られたモノだからだ。ハクの超感覚を内側から封じようという作戦なのだろう……もう一つ、それでも処分しない理由は糺の弱点を探るためだ」

「糺博士の弱点?」

「前AoB本部でヤツが暴れた時、ヤツは頭を打ち抜かれても生きていた。流れ出たのは血ではなく白。白紙化現象だ」

「そうか! 糺博士も己の身体の内部に封鎖核を植え付けているんですね?」

 スリーが得心が行ったように手をポンと打った。

「ああ、それも一つ二つではないと私は睨んでいる」

「えっ!? 一人の人間の身体に封鎖核を何個も!? そんなのまともに世界を認識出来ないんじゃ……」

 珍しく狼狽するツー。いつもの気楽な雰囲気は消えている。

「恐らくまともに世界を認識していないのだろう。無敵の身体と共に手に入れた代償だ。だが奴はそれを許容してみせた」

 スリーも狼狽する。あわあわと手で宙を掻く。

「そんな、それじゃ倒しようがないじゃないですか!?」

 そこでワンが机の引き出しからとある物を取り出した。

「「弾丸……?」」

「化け物を倒す銀の弾丸……というには格好をつけすぎているかもしれないが。それでもこれは糺の身体に効くはずだ」

 机の上に置かれた三つの弾丸。

「これは俺達、大人の役目……ですね」

 弾丸の一つを手に取るスリー。

「やるしかないですね……」

 同じく弾丸を手に取るツー。

「これでもまだ実験していない未完成品だ。もっと封鎖核の研究を進めなければならない」

 その時。ワンに電話が入る。

「ふむ、了解した」

「どうしました?」

「四つ目の封鎖核が手に入った。これで研究が進む」

 その時だった――


「ドクター糺、発信機を搭載したシックスがAoB本部に到着したようです』

「モニタリングご苦労。では」


「封鎖核! 起動!」


「あっ、かはっ、ぐぅ……!」

「ハク!?」

 胸を押さえながらもがき苦しみだすハク。聯は狼狽える事しか出来ない。


 研究室にも変化があった。

「三つの封鎖核が!?」

「消えた!?」

「まずい! ハクの下に向かったか!?」

 アーサー達が急いで部屋を出た。


 四つの封鎖核に囲まれたハクが宙に浮く。ファクターに変身した聯が封鎖核に攻撃するがバチィと電撃のようなモノに弾かれる。

『ハクーッ!!』

 今、決戦が始まろうとしていた。

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