騙し合いの狂愛線
「
「わかってる」
「
「……つかない」
結の声に焦りが混じる――
「日曜の次は月曜日……登校が始まって騒がれる前に、ヤツは間違いなく
職員室で、衣笠真理亜の住所を聞き出せなかったんですか? 優等生の先輩なら、
「アレは、別人の名前。向かったら、〝別の生徒の家〟だった。
恐らく、校内に
彼女の性格的に、
「その生徒からは、何か聞き出せなかったんですか?」
「今は、北海道に旅行中らしいよ。ただの土日なのにね」
電話口の向こうから、爪を噛む音が聞こえてくる。
「お兄ちゃんに仕込んだ携帯電話は、机の中に放置されっぱなしです。幾らGPSの精度が良くてもどうしようもない」
「
アキラをストーキングするために使われていたらしい
「ダメです。そもそも、家に閉じこもってカーテンを閉め切られているようなら、どうやっても見つけられません。それに人工密集地区の上空で飛ばすのは航空法に
「つまり、使えない?」
無言の
「……情報、何か隠してないよね?」
「えぇ? どうして、そう思うんですかぁ?」
人をおちょくるような甘ったるい声が聞こえ、結は右耳から左耳へと受話器を移動させる。
「
他にも、何かしてるよね?」
「いいえ、別に」
ほんの
「……そう、わかった。何か情報があれば連絡して」
「えぇ、もちろんです。それじゃあ」
電話が切れて、結は
「さて」
彼女は、画面に映る〝隠し撮り〟した衣笠真理亜の写真を見つめる。
「淑蓮ちゃんは、まだ
つぶやいて、彼女は歩き始める。
「
覚えておいてね、淑蓮ちゃん?」
教師から聞き出した住所へと、水無月結は向かって行った。
「ま、自分自身の位置情報が、バレてるとは思わないよね」
白色のニットを着込み、デニムのショートパンツを
「水無月先輩の弱点は、間違いなく〝お兄ちゃん〟。意識の
甘ったるいマンゴージュースを
「あのさ、今って時間あ――」
「殺すぞ?」
満面の笑顔で、美少女は言った。
「私の
「そだね。それが、フツーの反応だよ」
全身を
「でも、お兄ちゃんは違う……あの人なら、私の愛情でさえも受け止められる……特別、特別なんだよ……」
淑蓮はうっとりとしながら、結がアキラと入浴している際に、彼女の携帯に仕込んでおいたGPSが指し示す位置情報を見つめた。
「頑張ってね、水無月先輩。最後に勝つのは私だけど、
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