掴め!! 生存ルート!!
「本当にごめんなさい!!」
生徒指導室で、
「あたしが、
「……どうだ、桐谷?」
「どうだも何も、犯人はコイツじゃないですよ。あのですね、コイツからは〝気〟が感じられないんです。
俺の生存本能を
「桐谷、ちょっと」
先生と連れ立って指導室を出ると、26歳の彼女はため息を
「つまり、桐谷。お前は、あの子が自分のストーカーだとは思えない。そう言いたいんだな?」
「当然ですよ。
だって、そもそも――」
「髪の毛の色が違う」
生徒指導室の外に居たらしい
「アキラくんの下駄箱に入ってた髪の毛、アレは〝黒髪〟だったって話ですよね? でも、彼女は髪の毛を染めているようですし……それに、爪だって、マニキュアが
アキラくんの下駄箱に、髪の毛と爪が入れられたのは
さも当然のように、急に出て来るのやめて?
「水無月、盗み聞きとは感心しないな」
「先生を呼びに来たんですよ。朝のホームルーム、そろそろ始まりますから」
「すまん、桐谷。また後で話そう。
「え? ぁ、はい」
よほど怖いのか、ギャル――
「なら、放課後だ。私は職員室に寄っていくから、お前らは、直ぐに教室に向かえ。
「そういうことだ、遅れるなよ」
先生の
「話、聞いてたか? 先に教室に行け」
「やだやだやだぃ! 先生と一緒に行くんだぁい!」
一緒に行かないと、死ぬんだぁい!
「アキラくん」
ぎょっとするくらいの
「雲谷先生に、迷惑かけちゃダメでしょ……ね?」
「衣笠ァ!! 何ボケっとしてやがる!! 一分後の俺たちの生き死には、この
「え、あ、え?
せ、せんせ!!」
ようやく
「う、雲谷せんせ! あ、アイツ! あの子、スタンガンもってるよ!」
おいおーい!
「……スタンガン? どこに?」
ニッコリと笑った水無月さんが、
「え? ぽ、ポケット、とか?」
水無月さんがポケットを裏返し、ニコニコと笑う。
「衣笠、下らないことをするな。桐谷のバカに付き合ってやる必要なんて、どこにもないんだぞ?」
これから、先生を呼びに行くのに、スタンガンを持ち歩くわけがない……雲谷先生への
「ちょ、ちょっと! 桐谷から、手、離しなよ!」
自分の足で、
「……は?」
水無月さんが笑うのを止めて、首を
「はぁ?」
言葉に
「水無月さん、助けて!! あの女、俺のことを物欲しそうに見てくる!!」
「た、助けようとしてあげたのに! あんた、裏切るの!?」
いや、お前は、
「あ、アキラくん……か、
あ、イケるわ!! 生存ルート、掴んだわ!!
俺が
「お、お前、桐谷、どうした? 熱でもあるのか?」
「熱どころの
「わ、わかったわかった。もう、好きにしろ」
先生、大好き。愛してる(利用価値的に)。
もう既に逃げたのか、衣笠は姿を消しており、俺は先生に
当たり前のように、水無月さんがついてきて怖かった。
「じゃあ、朝のホームルーム、始めるぞ」
どうにか命を拾った俺は、皆の前だと
「ん?」
見覚えのない、真っ黒な弁当箱を見つけた。
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