狂愛を捧げよ
「す、
あ、一言目でわかるわ。コイツ、やべーヤツだわ。
聞こえてくる
「すいません、電話切れちゃいまし――」
着信。無言の圧力で出るように強制され、仕方なくもう一度耳を当てた。
「はい、崇高なるアキラ様です」
「あ、あぁ……さ、先ほどは、し、失礼致しました……ぼ、ボクのような、ゴミ虫が、アキラ様の声を
本人に断りなく、勝手に名誉を感じるな。
「ど、どうしても……お、お
「お褒めの言葉? ストーカーしといて、よしよしして欲しいってか?
ふざけんな!! よしよしするので、二度と俺に付きまとわないで下さい!! お願いしまぁす!!」
「……
会話の流れを
「それに、
「お前、どこからか視てんのか?」
「お、美味しそうなケーキですね……ぼ、ボクも食べたかったな……」
俺は周囲に視線を走らせ、カーテンが開いているかどうかなどを確かめるが、外側から室内を見られるような状態ではなかった。
「視るのは無理だよ」
会話が聞こえていない
「アキラくんとの
たぶん、彼女が視たのは『
「お前、視てないな? お前の嘘八百は、俺の灰色の脳細胞がお見通しだボケが」
見事な
「桐谷、
「自首?」
通話口を
「お前との面談が終わって直ぐな。
『明日、直接会って謝罪したい』と連絡があって『まだ、教室に桐谷さんが残っているようなら、自分のことを話しておいて欲しい』と言われてはいたんだが……水無月と用事があるらしいし、まぁ、明日の朝にでも話すかと思っていた」
「……ゆいの計画に、気づいていて
え、元から、俺のことは
「あ、アキラ様を、悪しき者からお救いしました」
先生の無駄に大きな声があちら側にも伝わったのか、俺の
「そ、それに、あ、アキラ様の下駄箱に、ぼ、ボクの〝結界〟を張りました……か、髪の毛と爪で……あ、悪しき者から、ま、守るためです……」
そういう結界とかは、少年漫画でやってくれる?
「あ、アキラ様に、お、お褒め頂きたくて……あ、悪しき者に、て、天罰も下しました……き、気に入って下さいましたか……?」
「俺のクラスメイトに、ネズミとゴキブリの死体送りつけたのはお前か?」
「て、天罰です……」
人災を天罰呼ばわりするのはやめろ。
「正直言って、俺のせいで、周囲にまで被害が出るのは寝覚めが悪い。そういうことするのはやめてくれ」
「お、お兄ちゃん、カッコイイよぉ」
とろけきった顔で、妹が俺の下腹部に顔面を押し付けて
「あぁ……! も、もちろんです……! あ、アキラ様のご命令ならば……なんでも言うことを聞きます……!」
え? なんでも聞くの?
「……俺を
「ほ、
用いる言葉の
「あぁ……! 有り難い
「あの、やっぱ、キャンセルで」
既に通話は終わっていた。
「で、どうなった?」
「先生、助けて!!」
先生の
日光を吸収する
暗闇の中を唯一照らすのは、
「アキラ様……アキラ様……」
真っ黒なローブを着込んだ少女は、両手を組んで祈っている。
祈りの対象は、
彼から盗まれた身の回りの品を取り込み、彰自身に仕立て上げられた等身大の人形の顔には、クローズアップされたアキラの
元の壁紙の色がわからないほどに、
「お
すっぽりと頭を
「死ぬことも殺すことも、決して
彼女は手首を切って――
「明日、お迎えに参ります」
自作の
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