第10話

俺はメイドさんと一緒に屋敷を出た後、門の前でメイドさんは足を止めた後に、振り返りこう言ってきた。


「エルライナ様、私達はアナタの来訪を楽しみにしてお待ちしております」


「どうしてですか? 私はバルデック公爵様達と違って平民なんですよ?」


「フフフッ」


メイドさんは口元に手を当て笑った後に俺を見つめながら話し始める。


「アナタはネルソン様の命の恩人ですし、なによりご夫婦はアナタの事を気に入ってるようです。それに私達使用人もアナタの事を気に入りました」


俺、バルデック公爵様達に気に入られちゃってるんだ。


「はぁ・・・・・・ありがとうございます」


「ネルソン様の言葉は本当だったんですね。人族で雪のような真っ白な髪とアメジストの瞳を女性、おとぎ話しかでしか存在しないと思っていました」


ん? おとぎ話でしか?


「あの、私の髪と瞳の色は珍しいんですか?」


「ええ、エルライナ様の髪の色は特に瞳の色は珍しいですよ。私自身も初めて見ました。

それにエルライナ様は・・・・・・とても可愛いです」


「にゃうっ!!?」


俺は思わぬ言葉に後ろにたじろいてしまう。


「いき、いきにゃり、なにを言っていりゅんですかっ!!」


「エルライナ様、そのままの意味ですよ。本当に可愛らしいお姿です」


「う、うにゃぁぁぁ〜〜〜〜~~っ!!」


この人、俺で遊ぶ為にわざと褒めているよ!


「フフフッ、ここでエルライナ様を止めるのも失礼ですね。どうぞ、またのご来訪を楽しみにしてお待ちしております」


「ひぁい、おじゃま・・・・・・ひまひた」


俺は呂律が回らないまま、門をくぐり抜け銀色の竜亭を目指し歩き出す姿を、メイド服を着た女性はおもしろいと感じているのか笑顔のまま見つめる。


「・・・・・・フフフッ、本当におもしろい子。戦う力があり思考力があり、そして実戦の経験がある」


なによりも、あの髪と瞳の色。


「もういないと思っていましたわ。人族で歳を取る意外で真っ白な髪色をしているのと、もう存在しないと言われる紫色の瞳を持つ者を」


お父様から容姿を聞いた時は半信半疑だったけれども、会って姿を見た時は感激してしまいました。


「本当に綺麗で不思議な子。あの照れてる姿は本当に可愛いかったですわ」


多分あの容姿なら、あの子を欲しがる輩が出てくるでしょうね。お父様自身もあの子を家に取り入れたいみたいですから、そう簡単に他の者にあの子を渡さないと思いますけど。


「アリーファお嬢様。どうぞお屋敷にお入り下さい」


「兄弟の言う通りです。どうぞお屋敷内へ」


「フフフッ、わかったわ。家に入ってお母様と一緒にお茶でもしましょうかしら」


彼女はそう言った後に、屋敷向けて歩き始める。


「・・・・・・ホント、私もあの子を欲しくなりましたわ。

どうやって弟と結婚させましょうかしら? ・・・・・・あっ!? そうしたら私の楽しみがなくなりそうですわ。養子に取ると言う方法の方が良いかもしれませんね? そうですわ! お母様と相談してみましょう!」


アリーファと名乗られたメイドはウキウキしながら屋敷に入って行くのであった。



〜〜〜 同時刻 〜〜〜


「うううぅぅぅぅぅぅ・・・・・・あのメイドには注意しよう」


俺は道路を歩きながらあのメイドさんの事を考えていたら、さっき話していた俺の容姿について気になっていた事を思い出した。


「そうだ、神様に連絡しなくちゃ!」


俺は歩きながらフレンドリストを開いて神様にかけてみる。


『もしもし、エルライナちゃんどうしたの?』


良かった今回は繋がったよ。


「神様、聞きたい事があるんだけど今大丈夫ですか?」


『ま、待って!!』


「え?」


『GAU-19Bの事は僕が悪かったよ! あんなふうにしたのはさ、キミを驚かせたかったからなんだよぉっ!! それにもうメルティナスちゃんに怒られたから、キミまで怒らないでよぉぉぉ〜〜~っ!!』


神様がこんなふうになるって、メルティナさんはどんな怒り方をしたんだ?


「いや神様、私はその話しをしたくて無線を繋げたわけじゃないんですけどぉ・・・・・・」


『え、本当? それは良かったぁ~。でなにが聞きたいの?』


「えっと、私の容姿、詳しく言えば髪色と瞳の色は珍しいんですか?」


『え? 髪と瞳の色? ・・・・・・ちょっと待ってね!』


あれ? もしかして神様は把握していないのか?


『・・・・・・・あったあった! 資料によるとね』


「し、資料!? ちょっと待って下さいっ!!?」


『どうしたの?』


「神様が資料を使うなんておかしいでしょ! 普通神様は知識チートはずでしょっ!!」


『神様だって、普通の人間と同じだよ。自分の世界の基本的な所は分かるけど、詳しい話しになると分からないところがあるよ。

キミに分かりやすく例えるなら、僕がキミに前世で安土桃山あづちももやま時代の事を詳しく知っていますか? と聞いているようなものだよ。詳しく話すなんて事は出来るわけないよね?』


無理だ、全然分からない。だって俺はその時代に生きたわけじゃないから。


「すみません神様、ラノベ知識に囚われていました」


『うん、分かってくれればいいよ。でね、なんで資料にしているのか? ってキミは気になっていると思うから説明しておくよ。

詳しい事は僕達の使者が世界を見て回ったり、その国の学校で学んだりした事を資料して僕のところに送ると言う形を取っているから詳しい事は資料で僕のところにあるんだよ。でも・・・・・・』


「でも?」


なにか問題があったのか?


『この資料、油みたいなのが付いていてなんか汚いよ。字だってぐにゃぐにゃで読みにくいしさ、しかもなんか抜けているところがありそうだしぃ・・・・・・リトレアスちゃん! 誰がこの資料まとめて認可したの?・・・・・・え? あの子? エルライナちゃんと話しが終わったら呼んで来てね』


天界で俺の予想を斜め上を行く問題が起きているっ!!


『それでね。エルライナちゃん、さっき話しの続きなんだけど』


「イヤイヤイヤイヤっっっ!!? 大丈夫なんですかその資料?」


『大丈夫だよ。ほら、色々と汚いけど基本的なところは合っているから・・・・・・大丈夫だよねリトレアスちゃん?』


ほら、神様だって不安がっているじゃんっ!?


『・・・・・・うん、大丈夫みたいだよ! 基本的なところは間違ってないみたいだからさ!』


「う、うーん・・・・・・分かりました。説明をお願いします」


『じゃあ言うよ。人族以外で白い髪を持っている人はいるんだけども、白と言うよりも灰色って言った方が合ってるね。キミ見たな純白はいない。

もちろん歳から来る白髪しらがは別だよ。そしてアメジストカラーの瞳は持つ人はこの世界ではキミだけだね』


うわぁ・・・・・・髪と瞳の色を言えばすぐに俺だと判断出来る状態だなぁ・・・・・・。


『それにエルライナちゃんの髪色と瞳の色は、300年前に絶滅しちゃった一族と被っちゃってるんだ』


「絶滅した一族?」


『そう、白紫はくしの一族と言われた一族に』


その人達が気になってしまう。


「どんな一族だったんですか?」


『えっとね。その一族はね。たった五十人ぐらいしか居なかったんだって、そしてその一族は神に近い一族として言われていたみたいだよ。実際違うんだけどね』


神に近いと言われた上にたった五十人しかいなかっただとっ!?


『人があまり立ち入れないような場所で集落を築いて静かに暮らしていたんだけれども、大規模な戦争に巻き込まれてしまったせいで一族は消えてしまったんだ。

その一族の最後一人は敵国に捕まった後に死刑執行されたみたいだよ。戦争に関与してなかったのに可哀想だねぇ』


うわぁ、ヘビーな話しが来たよ。


『だから気をつけてね。大半の人は白紫の一族は絶滅したと信じていけど、エルライナちゃんが白紫の一族と信じて近づいて来る人がいるかもしれないからね』


「なるほど。説明ありがとうございました」


今後からその一族と間違われないように気をつけなきゃいけないな。


『うんうん、役に立てて良かったよ。ところでエルライナちゃんは、何処に向かって歩いているのかなぁ?』


「え? 銀色の竜亭に宿を目指して歩いているんですけどぉ、なにか問題があるんですか?」


『実はね。キミはもう銀色の竜亭を通り過ぎているんだ!』


「なん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だとっ!!!?」


俺はそう言いながら立ち止まる。


『話しに夢中になって気が付かなかったんだね。プークスクスッ!! 来た道を戻って十字路を二つ目を過ぎた辺りにあるよ。

ププッ! じゃあね! またなにかあったら連絡してね。あー、おもしろい! みんなに言いふr』


と言いながら神様は一方的に通信を切ってきた。


「・・・・・・・・・・・・チクショウ」


あの神様に馬鹿にされた。しかも最後に気になる言葉も言いながら。


「チクショォォォォオオオオオオオオオオオオッッッ!!?」


エルライナはそう叫びながら来た道を走って戻るのであった。

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