第4話

ギャアギャア叫んでいるエイミーをなだめた後、最後に足を撃った敵を回収して尋問をした、てか俺の顔を見た瞬間にすんなり話してくれた・・・・・・何故?

まぁそれは置いといて、彼の話しによると、 ゴーゼスの領主にお金で雇われてやったんだ! まさか領主からの依頼が公爵様を襲う事だったとは知らなかったんだっ!! 知ってたらこんな以来断っていたっ!! と言った。

それと、さっきの戦闘で逃げていった生き残りは国で調査しだい追うそうだ。


あっさりと聞きたいことを終わったので、俺は撃って散らばった薬莢とそこら辺に捨てたマガジンを回収しようとしたが、見る影も形もなく消えていた。


確かぁ・・・・・・あのゲームでも薬莢と一発でも撃ったマガジンを地面に落として五秒ぐらい放ったらかしにすれば消える様になっていたな。多分その仕様が働いているのだと思う。まぁ、ある意味有り難い。


そしてエイドさんとキースさんとエイミーさんはこの先が安全を確認しに偵察しに行き、グエルさんとリズリナさんは生きている者はある程度治療してから縄で縛り魔法で眠らせて一ヶ所にまとめ、死んでいる者は首を切った後に死体をまとめて燃やしているのだ。正直、グロからあまり見ていたくはない。


「グエルさん、何で死体を燃やすんですか?」


「え? お前、なんでこんなことをしてるのか知らないのか?」


リズリナさんも、 え? 知らないの? と言いたそうな顔をしている。


「えっと、まぁ・・・・・・はぃ・・・・・・・・・・・・」


知らないものは知らないよ! だって神様が死体処理の仕方まで話してくれなかったし! ホント、役に立たない神様だなっ!!


「・・・・・・本当にお前が何者か分からなくなってきたぞ」


グエルさん、小声で言っているけどさ、今つけているヘッドセットの機能の一つに集音機能があるんだよ。しかも若干高めに設定してるからモロ聞こえているよ。


グエルさんは、 ハァ〜〜〜・・・・・・。 と深くため息を吐くと説明を始める。


「いいか? 人間の死体を何もしないで放置しているとモンスターが死体を食べに来て道の妨げになるか、死体がゾンビになって手当たり次第襲うようになるかの二つだ。まぁ死体はゾンビ化する前にモンスターに貪られることが多いからゾンビになる死体は少ないけどな」


へぇ〜、そうなんだ。


「何人かの首を切って袋に入れたのは?」


正直、その袋に触りたくないから、 こっちに渡さないで下さい。 って言いたい・・・・・・でも大丈夫か。


「ああ、この首があれば中にある記憶を魔法で掘り出して、どんなことをしていたのかを調べられるから持って帰るんだ。しかし、いくら記憶掘り出すからと言って覚えている事を全部掘り出せる訳じゃない」


「どう言う事ですか?」


「どんなに頑張っても三日以内の記憶を断片的にしか映し出せないだ。いいか、 [メモリーリード] は万能じゃないから出来れば生かして捕らえて貰えた方が、こっちとしては有り難いんだ」


捕らえて兵士に引き渡すのは難しい。だってせっかく捕まえた盗賊が誰も見ていない隙を見て逃げ出す可能性があるから、いくらなんでもそれは難しいと思う。でも、首を持って帰るのも嫌だなぁ・・・・・・。


「お前は総合ギルドの冒険科に所属するんだろ? ギルドカードと一緒に提出すれば、賞金が貰える事があるから覚えておけよ」


冒険科? 冒険者じゃなくて冒険科・・・・・・ん? んんん?


「首を切るだけでゾンビ化はしなくなりますよ。大抵の人は3〜4人の首を切った後、残りの死体はそのまま燃やすのが一般的なやり方です」


冒険者と冒険科は何が違うの? と聞こうとしたんだけれども、リズリナさんがグエルさんの後に続く様に答くるので言えなかった。


リズリナさん、まぁいっか。後でも分かることだしね!


「縛ったあの人達を持って行かないのは分かるんですけど、このまま放置して大丈夫なんですか?」


一人か二人なら馬に乗せて持って行けるが流石に九人は持って行けるわけがない。だから残りの冒険者は置いて行くのは分かるけどぉ・・・・・・このまま放置すればモンスターの餌になるか、無いと思うけど催眠魔法が解けた時に縄を解いて逃げる可能性があし、ましてや逃げた連中が戻って来て助けに来るかもしれない。


「えぇ、ちゃんと結界石で結界を張ったからモンスターに襲われる心配は無いですよ。それに催眠魔法は二重に掛けていますから簡単には起きないでしょう。何よりも彼らの武器は全て回収したので、起きて何処かに逃げようとしても、襲って来るモンスターを魔法だけで対処する事が彼らには出来ないので、身の危険性を感じて結界から出て来ないでしょう。後は王都の兵士に連絡をして回収して貰いますから安心して下さい」


「あの逃げてった人達が助けに来る可能性は?」


「ほぼゼロパーセントです。彼らも自分達が追われる身になると理解していると思いますから助けには来ないと思いますよ。仮に来たとしても私達の方で三人確保しているので聞き出すことは可能ですから」


つまり、この場から逃げようとしても武器がないから戦えずモンスターに殺られるか、大人しく捕まって街まで安全に送って貰うか、はたまた助けに来た仲間と共に逃亡生活をするかの三つか。最後の選択肢はなさそうだな。だって倒れている仲間を起こさずに我先にと逃げていたから仲間意識が薄そうだな。


「分かりました。説明ありがとうございます」


神様より頼りになる情報をグエルさん達に教えて貰いました。


偵察から戻って来たエイドさん達が言うには残存がいないのでこのまま進んでも問題ないと言うことなので、このまま進むことになった。出発前にリズリナさんは召喚獣二匹召喚して一枚づつ手紙を持たせて一匹は王都に、もう一匹はゴーゼスに届けるように指示を出した・・・・・・リズリナさんの召喚獣、モフモフしたかったなぁ。


それと出発する前にバルデック公爵様が俺にお礼を言ってくれた。


「貴女がいなかったら、我々は亡くなっていたかも知れなかったかもしれない。この場を代表して礼言うよ」


バルデック公爵様は俺に頭を下げて言う。


「ありがとう 。エルライナさん」


いやいや、公爵様が簡単に頭を下げて良いの? てか、こう言うの慣れて無いから止めて欲しい。


「いえ、気にしないでください。・・・・はぅ」


恥ずかしくて変な声出ちゃったよ。


「フフフッ、さて、ゴーゼスに向けて出発しよう」


バルデック公爵は笑顔で自分の馬車に乗り、俺もエイミーさんの馬にまた乗り出発する。


「ねぇ、エルライナちゃん」


街までもう少しの所で今まで黙っていたエイミーが口を開た。てかエルライナちゃん? さっきと言い方違くない?


「はい、何でしょうか?」


「今日はありがとうね。アナタがあの場にいなかったら、部隊に被害が出ていたかも知れなかったわ」


「僕もアナタにお礼を言せて欲しい。ありがとう」


「私も感謝しています」


「俺からもこの部隊の隊長並びに個人的にも礼を言うよ。ありがとうエルライナ」


エイミーさん、リースさん、リズリナさん、グエルさん、の順番に俺にお礼を言ってくれる。


「い、いやぁ・・・・・・あの・・・・・・・・・・・・はぃ」


他人からこんな風にお礼を言われるのは、あまり慣れて無いからどう答えれば良いか分からないし、なんだか顔が熱くなって来たっ!!


「うぅ〜〜っ!!」


俺は恥ずかくなったのでエイミーの背中に顔を隠すのであった。


「あら、以外と可愛い所があるじゃないの」


エイミーさんは小声で言うが俺は気にしている暇がない。だって、恥ずかしいんだもんっ!!


そうこうしている内にゴーゼスの門に着いた。しかも着くと同時に中から門番さん達が一列になって迎えに来てくれた。


「皆の者! ネルソン ディア バルデック公爵がお参りだ! 全員敬礼ッ!!」


一列に並んでいる門番の内一人がそう言うと門番全員が左手を胸に当て右手をまっすぐに伸ばして左手の前に持ってきて変なポーズを取る。多分あれが敬礼だろう。


「皆の者、楽にしてくれ」


そうすると、門番達が敬礼を止めて真っ直ぐ立つ。


「ここの門番の責任者は誰だ」


「ハッ! 私です!!」


真ん中にいた人が返事をした後に一歩前に出る。


「伝令はもう読んだか?」


「ハッ! 伝令を読み直ぐに動きましたっ!! 現在、今回の件に関わったと思われる冒険者ギルド デブトル を強制捜査しております」


強制捜査ってこっちの世界でもあるんだ。


「・・・・・・そうか」


「今日捜査が終わり次第騎士団経由で報告をします」


バルデック公爵は うんうん と頷きながらまんべんな笑みを浮かべて納得している。


「分かった報告を待つ。皆の者持ち場に戻れ」


バルデック公爵の一言で責任者ともう一人は補佐官(?)の二人以外自分の持ち場に戻った。この人って本当はかなり偉い人なんじゃないの? 本当に公爵の地位なの?


「あの・・・・・・バルデック公爵様、お尋ねしたいことがあります」


さっきの責任者が公爵様に質問をしてくる。


「うむ、聞こう」


「そこにいらっしゃる白い髪の女性は一体どちら様ですか?」


「あぁ、この子か。この子は私達の恩人だ。もしこの子がいなかったら私達は死んでいたかも知れなかった。だから無礼なことをしたら私が許さん。肝に銘じておけ」


バルデック公爵様は兵士さんを睨みながら話した。


あ、あれぇ〜、おかしいなぁ? 俺が知ってるバルデック公爵は優しそうな顔でどこか抜けてる感じだったはずなのに・・・・・・なに、この変わり様はっ!!?


「ハッ! 女神リトレアス様に誓って彼女に無礼なことしませんっ!!?」


もう止めてあげてっ!? 門番さん泣きそうだよぉ〜〜〜っっっ!!?


「公爵様、エルライナは私達と違って手続きをしなければなりません。それに私達もカードを提示しなければ街に入れませんよ」


グエルさんが助け船を出す。マジナイスですグエルさんっ!!


「うむ、それもそうだな。エルライナさん、ここで待っているから手続きをして来なさい」


「・・・・・・は、はい」


俺は目の前のバルデック公爵様のにこやかそうな顔が素なのか悩んでいる。


あ、エイミーさん俺の顔を見てる。しかも口に手を当てて笑いたそう。


「手続きをするので、こちらに来て下さい」


そう言われたので、俺はエイミーさんの馬から降りて、椅子に座って手招きしている門番さんの所に行く。


「さて、カードを持っていないとなると貴女は何処かの集落かキャラバンの出身かな?」


「うーん、集落でしたけど名前がなかったです」


俺はウソを吐く。通用するかどうかは怪しいけど。


「名前のない集落かぁ・・・・・・だとすると随分遠くの方からここまで来たんだね」


「はい、そうです」


なるほど。 と言う感じで門番さんは納得した後に水晶を取り出し机に置く。


「じゃあ、ここに手を置いて、君のステータスと犯罪歴があるか見るから」


「分かりました」


俺は言われた通りに手を置く。


「え、魔力0!? しかもスキルなしにクラス不明!? こんなステータス始めて見ましたっ!!? しかも15歳でその胸って・・・・・・・」


あれ? 俺の年齢は17歳だったはずなのに水晶に15歳って書かれてる。この体になったからかな? しかも門番さん俺の胸を見てる。えっちぃことはしないよっ!!


「ま、まぁ犯罪履歴がないようですから通って大丈夫ですよ。仮身分証を発行するので銀貨二枚を渡して下さい」


俺はアイテムボックスから銀貨二枚を取り出し門番さんに渡して門番さんから仮身分証を貰った。


「なお、仮身分証の有効期限は一週間ですので総合ギルドでギルドカード、もしくは役所で市民カードを作ってください。カードを作り終えてから、こちらに仮身分証を返していただければ、先ほど渡した銀貨は仮身分証と交換と言う形で返しますので早めに作ることをお勧めします。これで手続きは終わりになります」


「ありがとうございました!」


門番さんはニッコリしてこっちを見た。


「こちらこそ」


手続きが終わったのでエイミーさん達の所に戻ると冒険者の首を入れた袋の引き渡しをしていた。


「後はそちらに任せる」


「ハッ! 第二騎士団長もお気をつけ下さいっ!!」


グエルさん団長は団長でも騎士団長だったんだ。今思うと俺はスゴい人達とこの街に向かってたんだねっ!? うわぁ、ヤバッ!! なんだか胃が痛くなってきたぁ〜〜〜・・・・・・。


そんなことを思っているとエイミーさんが俺に気づいてグエルさんに言う。


「エルライナちゃんが戻って来ました」


「ん、そうかこっちも終わったからバルデック公爵様に出発を言おう」


え? ここでお別れじゃないの? もしかしてこの人達は俺の胃に風穴を開けるつもりなの?


「あの・・・・・・ここでお別れじゃないんですか?」


するとみんなは、 なに言ってるの? って顔をすると、エイミーさんが俺に近づいて手を取る。


「このまま総合ギルドに行くのよ。さぁ早く馬に乗って」


あ〜、もう逃げ場がない。しかも目的地は一緒だったみたいだ・・・・・・俺の胃が・・・・・・・・・・・・クスンッ!?


胃に痛みを感じながら、この人達との関係はまだまだ続きそう。 と感じたエルライナだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る