第5話

エイミーさんの馬乗った後に色々と気になったのでグエルさんに質問をしようと思う。


「あの、グエルさん」


「ん? どうした」


「どうしてグエルさん達は総合ギルドに行くんですか?」


「あれ? 俺達の目的を話して無かったけ?」


「えっと・・・・・・そうですね。確か話してませんでしたね」


リズリナさんが覚えていてくれた。


「あぁ、話してなかったか。俺達の目的は総合ギルド支部の監察だ」


視察って、おいおいおいおい! なんかキナ臭くなってきたぞっ!!


「し、監察だけなら部下だけで行けば良いと思うんですが?」


グエルさんは俺のその言葉を聞いた瞬間、眉を潜めた。


「今回は公爵様が出ないと行けない事態になったからだ」


うん? どう言う事?


「ここの貴族が総合ギルドにちょっかいを掛けているみたいなの。それにギルド内で不正の可能性もあるかもしれないから総合ギルド会長がわざわざ出て調べに来たのよ」


「エ、エイミーさん、どう言うことですか? 総合ギルド会長って、もしかしてぇ・・・・・・」


「バルデック公爵様はこの大陸総合ギルド会長、つまりレーベラント大陸の総合ギルドの会長を勤めているのよ。エルライナさん、もしかして知らなかったんですか?」


転生初日にそんなこと知ってるわけがないっ!? てか総合ギルド会長って、かなり偉い人じゃないかっ!!


「な、ななな・・・・・・なぁっ!?」


リズリナさんの説明に空いた口が塞がらない。


「さぁ、着いたぞ・・・・・・ん?」


・・・・・・・・・・・・ハッ!? あ、総合ギルドだ。


「あれ? 中が騒がしいですね。何かあったんですかね?」


ケンカの真っ只中なのかな? いや、それだとおかしい。だって漏れて聞こえてくる声に耳を傾けると緊迫した状況って感じるぞ。これは、なっ!?


背中から悪寒を感じたのでとっさに振り向くと、グエルさん達の雰囲気が別人のように変わっていた。


「バルデック公爵様」


グエルさんが公爵様に、目で何かを合図する。


「うむ、すまないがエルライナくん、キミの力を貸して貰ってもいいかな?」


え、マジで!? また面倒事ですか? 転生事故に性転換、さらには公爵様の臭そうな馬車の中に入れられそうになったり、本日何回目だよぉ〜〜〜・・・・・・。


「私で良ければ力になりますよ」


そう言ったけどさ、マジで断りたいよぉ〜〜〜っ!!


「ありがとう。さぁ、行くぞ!」


とりあえずACE32は弾が主犯格の身体を貫通して一般人に当たるのは避けたいから、メイン武器のACE32は武器庫に仕舞い。JERICHO941PSLをホルスターから引き抜き構える。


バルデック公爵様の後ろについて行きながら手早く準備をしていた。そして総合ギルドの中に入ると怒声と叫び声が外にいたときよりも鮮明に聞こえてくる中で目の当たりにしたのは、なんと高そうな服を着たチャラい男が倒れている男の人を足蹴にしてカウンターに向かって何か言ってる。


「お前ら分かってんのかっ!! 俺様の言うことを聞かないとぉ、こいつと同じ事にな・る・ぜぇ〜〜〜!」


「お前は何をしているのか分かってるのか!? いくらお前がこの街の領主だからといって、これはもう許されない犯罪だぞ! 逮捕状を出すっ!!」


カウンターの職員が男の人に向かって抗議するが、チャラい男は今すぐでも鉛玉をお見舞いしてやりたくなるような憎たらしい笑みで、血の付いたナイフを職員に見せつけながら頭のおかしいなことを言い始めた。


「あぁ? なにぃ〜? 何ですかぁぁぁあああぁぁぁ〜〜〜? 平民風情が領主である俺様に向かってそんな口を聞くんですかあああぁぁぁあああ? 聞いちゃうんですかぁぁぁあああぁぁぁあああぁぁぁ〜〜〜・・・・・・」


こいつマジで狂ってるっ!! それに倒れている人は服からして多分ここの職員だと思うけど、よく見ると床に流れ出るほど血を出しているじゃないか、早く助けないとっ!!


「もうお前は領主じゃない。大人しく投降した方が身の為だぞ」


「あぁ〜? 何? ここにも身分を分からない馬鹿がいるの? ん〜〜じゃ、ギルド長と一緒にそいつも死刑に決定!」


バルデック公爵様の声がギルドに聞こえるがチャラい男はこっちに振り向かずにギルド職員に向いたまま、今度は総合ギルド職員にナイフを突きつけた状態で話している。


「何故そんなことがお前に決められる? 罪人を裁くのは、貴族の仕事ではないだろう?」


バルデック公爵様が憤怒の顔を作りながら言ってるから、相当頭に来ているなこれは。


「ギヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッ!? はぁっ? 何言ってるのジジイ? お前は馬鹿だろ? この街はこの俺様が領主様なんだよ! つ・ま・り・は! この俺様が法律なんだよっ!! 従ってお前らは俺様に逆らった罰により、死刑が決定した! ギルド長、お前とそこのクソジ、ッ!!?」


ようやくこっちを向いたチャラい男は、まるで氷水を頭から被ったかのように顔を青くし固まった姿をバルデック公爵様は全く気にせずに話しかける。


「で、私を死刑にする様に聞いたのだが実行は何時にする気なんだ? 今日か? それとも明日か?」


「ば、ばばばばばばばばばっ・・・・・・バ、バルデック公爵っ!!?」


チャラい男はバルデック公爵様を見てとても同様している。これはこれで面白い。


「ほぉ〜、お前は私に様を付けなくなるほど偉くなったのか?」


「う、ううう、ウソだろ! 何でバルデック公爵がここに居るんだよっ!! ここに来るはずが・・・・・・クソッ!? 彼奴だけでも連れて来るべきだったっ!!」


そうだよ。何でコイツは護衛を連れて来てないんだ? 馬鹿だからか? 捕まえた後で聞くべきだな。


「生憎私は仕事でここに来なければならなくなった。それに護衛を連れず総合ギルドに来るとはな。まぁそのおかげで色々と手間が省けたがな。グエル!」


「ハッ!」


グエルさんは懐から紙を一枚取り出し、それを広げてそれを読み始める。


「グルベルト・ラングッド男爵! 貴殿は暴行、殺人、身分乱用、総合ギルドへの不正介入、横領、国家反逆罪の疑いにより、貴殿を逮捕、取り調べをすることをリードガルム国王、 ゼオン・ディア・リードガルム国王 が許可した! ここに国王のサインと印があるっ!!」


読み上げ終えると、紙をチャラい男ことグルベルトに見せつける。さっきまでの態度とは一変して身体を震わせる。


「う、嘘だ! 俺は悪いことをしていない! 悪いのはこいつらだ!俺が依頼を頼んでも申請させないから悪いんだっ!!」


バルデック公爵様はグルベルトの子供のような言い訳を聞いた瞬間、怒りを通り越して呆れ顏になる。


「依頼を申請出来ない理由は己自身が知ってるだろう? もういい、こいつをひっ捕らえろっ!! 暴れる様だったら始末してもかまわん! 許可は出ているっ!!」


グエルさん達は ハッ! と言った後にそれぞれの武器を構えてグルベルトを捕まえようとするが、馬鹿男は悪足掻きを見せる。


「う、動くんじゃねぇ! こいつがどうなっても良いのか!」


グルベルトは慌てた顔をしながら足元に倒れているギルド職員に持っているナイフを突きつける。


その様子を見ていたグエルさんは、武器を構えたままその場に立ち止まるとグルベルトに言い出す。


「いまさら見苦しいことをするな! 大人しく投降しろっ!!」


グルベルトは怒りに顔を歪めながらナイフをグエルさん達に向かって突き出して怒声を放つ。


「ウルセェェェエエエエエエエエエエエエッッッ!!? 平民風情がこれを見て分からないのか、ボケカスッッッ!!? いいかお前らぁ、今すぐそこを退けっ!! 俺様を通さないとこの平民をこのナイフで[パァンッ! ?]・・・・・・へぇ?」


その音と共にグルベルトがグエルさん達に、向かって見せつけるように前に突き出していたナイフが何処かに飛んで行ってしまった。


グルベルトは最初は 何が起こったのか分からない。という風な顔をしながら、自分の右手を見たその瞬間に苦痛の表情に顔を歪めて涙目になりながら叫び始めた。


こいつ本当に馬鹿だ。逃げたいなら人を盾にして人質に突きつけているナイフを離すなよ。正直言って撃ちやすかった。


「ギァァァァアアアアアアッッッ!!? でがぁぁぁああああああっっっ!!? デベェー、◯n#じ&!!?」


激痛で上手く話せてない見たいだが、俺は気にせずJERICHO941PSLを向けた。


「両手を頭の後ろにゆっくり組んでそのまま伏せろ! 言うとうりにしなければまた撃つ!!」


「だ、ダレがオバエ見だイなべービンの命れ・・・・・・」


迷わず今度は片膝に狙いを定めて撃った。瞬間にグルベルトは右膝を押さえながらうずくま


「ギャァァァアアアアアアッッッ!!?」


「もう一度言う。両手を頭の後ろにゆっくり組んで、そのまま伏せろっ!! 五秒以内にやらなければ次は頭を狙う! 五ッ! 四ッ!」


馬鹿男は恐怖に顔を歪めながら、 ヒッ! と言った後に顔から涙どころか汗や鼻水まで出して言い始める。


「分がっタァ!! 分がっだかラ、モうヤべでグれぇぇぇええええええっっっ!!? 」


グルベルトは俺に言われた通りの動きをして伏せた状態になったところで、俺はグルベルトを見つめたままこう言い出す。


「グエルさんっ!!」


「うむ、エイド、ヤツを確保しろ! リズリナとエイミーは職員の手当てをするんだっ!!」


グエルさんは迅速に部下に指示を出す。


「「了解!」」


「・・・・・・」


「エイド、何をしているっ! さっさとヤツを捕まえろっ!!」


エイドさんは我に返ったかのように気が付いた後に 了解! と言いながら馬鹿男に近づき拘束をする。


「ソイツを私の前に連れて来いっ!!」


エイドさんは ハッ! と言った後に拘束し終えたグルベルトをバルデック公爵様の前に連れて来る。


「この後、お前は取り調べを受けた後に裁判を行う。事と場合によっては死刑に判決が下るが運が良ければ死刑を避けられる。しかし重罪だけは免れると思うな。言いたいことはあるか?」


「オべは・・・・・・俺は悪ぐねぇっ!! 悪いのはアイヅだ! リヴァイスだっ!!」


「この後に及んでまだ言うか! この罪人を連れて行け!」


バルデック公爵様の指示を聞いたエイドさんは、 ハッ! と返事をした後にグルベルトを何処かに連れて行った。


「ふぅー・・・・・・・あとはこのギルドの被害の調査だけか。いやいや、エルライナさん、キミのおかげでヤツを捕まえられたよ。ありがとう」


「い、いいえ、気にしないでください・・・・・・ハゥ〜〜〜・・・・・・・・・・・・・」


俺にお礼を言って来るバルデック公爵様。しかし俺は恥ずかしくなって来たので俯いてしまうのだった。

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