薄紅の音

遥か向こう

霞んだ光に触れ

時計は軽やかに

歩幅を刻んで巡る

窓を開ければ

淡く ふくよかな

青い匂いが差し込んで

長い夜を越えた

薄紅の思いが目を覚ます

口づければ甘い味

枝先流れる 木の葉のささやき


雨が降るなら

暖かな日和を祈りながら

のんびり休めばいいよ

木陰であくびをしたあとで

柔らかな声で

歌を口ずさもう


やがて雨が止めば

僕は露に揉まれて

光が滲んだ 空気に触れ

風の囁きに耳澄まし

山際を眺めて 深呼吸


僕は歌うんだ

すぐそこに来た季節の

高ぶった息吹に向かって

ただ歌うんだ

こぼれた光に包まれた

手に入りきれない世界を


ああ 僕の瞳に映った世界は

再び 鮮やかな呼吸を始めた

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