ハルジオン
おぼろげな記憶の中に
揺れる太陽がいた
くたびれた過去に映る
あの日の僕の空
君の名前も声も覚えているのに
なぜか 顔だけは霞んで見えている
退屈な授業中
入り乱れる数式をさえぎって
ノートの上を走っていた
溢れる文字たちは
頭の中みたいにぐちゃぐちゃで
何があるのか解らない
教科書に載っていた
うなだれているハルジオンは
僕に似ているような気がした
窓の外で輝いていた
あの日の太陽はまぶしくて
僕はただ 真っ直ぐ見られなかった
見渡した群青の
色が褪せそうな空には
静かに僕の溜息が混じる
ただ近づきたくて
ただ気を惹きたくて
くたびれた過去に映る
あの日の君の瞳
後ろ姿を追い駆けるだけなのに
後ろ姿を追い駆けるだけだから
固まった僕の左足
あの時の幸せが
あの時の後悔が
今もまだ
どこかでぶら下がっている
粘り気の強い昨日の積み重ねが
足元を曇らせる
明け渡した過去の空なのに
未だに燃える斜陽が
視界の隅でちらついている
あの日見たハルジオンは
色褪せうなだれていた
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