59 私のせいで



くっ 今の私では・・・


その若さで それだけの力を手に入れるとは さすが勇者といったところか


魔王タナトス それだけの力があるのなら・・・


んっ 何がいいたい


あなたの力があれば 人族を簡単に滅ぼすことが


ふん そんなことか 俺はただ 戦争を止めたいだけだ


なら なぜ 人族を襲う


襲う? 我々は仲間を救出しているだけだ 貴様ら人族に攫われて奴隷にされている仲間をな


えっ 他種族の奴隷は


表向きはな


・・・ ここは どうなの 人族の領域をあなた達が奪ったんでしょ


ここは 元々砂漠だった 誰の物でもない ただの砂漠だった 人族と他種族が接しないように 砂漠に俺達がこの城を 緑の楽園を作り上げた 平和の象徴としての城をな


それが真実なの


ああ 信じられないなら お前達をエルフの里に連れて行こう


分かったわ 私も真実が知りたい この魔王領が本当に戦争を止めるものなのか








そこで 私は見た 真実を 魔王タナトスの言うことが真実だと


でも どうしたら これが真実だと どうやって伝えれば


獣族の奴隷達 エルフの奴隷達にしても そう


王達は知っている 知っていて隠蔽している


魔王軍が攻めてくる理由も知っている


貴族達やお金持ち達も知っているのかも 知らないのは一般の人達


どうしたら 私に何が出来るの


私に何が


私の仲間達は怒り 国民に真実を知らせると言って先に国に戻っていった


私は残り更に詳しく歴史を学んだ


そして 国に


先に戻ったはずの仲間達は全員行方不明に


どこに


しかし すぐに分かった


私にも 刺客が


私は刺客達を返り討ちにすることが出来たが 仲間達は・・・


この国はダメ 他の国で


私は国を抜け出し 他の国に


そして 密かに獣族の奴隷について 調べてみた


この国にも


私は他の国に


しかし この国も


この国も


・・・


いくつもの国を渡り歩いた


・・・


・・・


どの国も同じなの


・・・


・・・


私に出来ることは


・・・


何も考えずに出来ることがあった


魔物退治だ


勇者としての力で魔物の被害で困っている人達を救うことが出来た


私にも出来ることが


・・・


これでいいの


・・・


考えても分からなかった


・・・


私は強くなっていったが


出来ることは変わらない


今日も魔物退治に


そんな中 1人の青年に出会う


一緒に魔物退治を何度もする中で


私は彼のことが好きになった


そして


彼の子供が


私は幸せだった


私は勇者としてではなく 1人の女として生きていこうと


彼と彼と私の子供だけのために


それでいいと思った


しかし 幸せな時間はいきなり終わりを迎えた


私に刺客が


今になって また 私を なぜ


私は急ぎ 家に


そこには 倒れている彼が


既に ・・・


アデル アデルは


タンスの中から音が


アデル


私はアデルを抱きしめる


今は悲しんでいる場合ではない


ここは危険 刺客は他にも


私は彼を 荷物を全てアイテムボックスに収納して


この国を離れることに


しかし 待ち伏せが


あなた達の目的は何


父の仇 勇者すず 貴様を倒す


えっ 父


貴様と 一緒に魔王退治に行った仲間のことはもう忘れたか 貴様が殺した父のことを もう忘れたか


ティムの ユアンの


ユアンは俺の父だ 貴様が殺したな


待って 誰がそんなことを 彼らは先に国に戻ったのよ


ふん ならなぜ逃げ回っていた 人族を裏切り 仲間を殺して 身を隠し生きている


私達は真実を知ってしまったの それを国に戻り発表するはずだったの


真実 うっ  ぐはっ な なぜ


背後にいた男が背中から剣で


ふん 死ね


ユアンの子が後ろから心臓を剣で刺され倒れた


黒いオーラを纏ったエルフのような男に・・・


あなたは あなたがそそのかしたのね


俺が 俺はただ雇われただけさ まあ 真実を公表しても何も変わらないだろうがね 誰もが知っていること 口には出さないだけさ


じゃあ なぜ


伝説の勇者が真実を公表すれば どれだけの影響を及ぼすのか 馬鹿でも分かるだろ 握り潰すのが面倒になるだろ

で 取引と いこうではないか


取引 私があなたと


俺ではない 人族の国 全てとだ 王達も貴様と敵対することを望んでいない 貴様には弱点が出来ただろ 応じてくれるよな


弱点 アデルのこと


貴様を倒すことは出来ないだろうが 人数を掛ければ 子供くらいは倒せる 分かっているだろ


・・・


まあ いい 何も答えなくていい 俺達は何もしない 貴様が余計なことをしなければな


・・・


・・・


アデルだけは守らないと


・・・


アデルだけは


・・・




あの男の言う通り 私は何もしなかった



数年後 魔王を倒してくれと何度も要請が


・・・


もちろん 私は要請を拒否した


しかし あの男が現われた


笑いながら 魔王を殺せと


断ればどうなるのか分かっているだろうと


・・・


アデルを守らないと


・・・


私は次第に追い詰められていった


そして限界に


これ以上断ればアデルが


・・・


アデルだけは


・・・


私は魔王討伐に行くしかなかった


・・・


ごめんなさい タナトス


・・・


こんなとき あつしなら どうするのかな


ふっふっ あつし って どうして今になって思い出したのかしら


・・・


・・・


・・・


私は死んだ


・・・


魂だけになった私をタナトスが息子の元に


タナトスの命令で彼の部下が私の魂をアデルの元に運んでくれた


・・・


私をアデルの元に


・・・


アデルと話を真実を


・・・


でも 私には出来なかった


真実を伝えるのが怖かった


もし真実を知ったアデルが


真実を知ったアデルを


・・・


そんなことは


・・・


私はアデルと共に


アデルの息子と共に


孫と共に


玉の中でただ見守り続けた


・・・


そして 私は知ってしまった


誰が魔王を倒すために私を利用したのか


・・・


あの男だった


あのエルフ 黒いオーラを纏ったダークエルフ


あの男は人族になりすまし


智王と呼ばれていた


智将王リャクガ


この男が私の仲間達を殺し


その子供達に私を殺すように仕向けた


私の愛する人を殺し


私の息子を人質にとり


私を魔王の元に


あの男が


ダークエルフ リャクガ


絶対に許さない


・・・


でも 私には何も出来ない


・・・


・・・


・・・


転生者


あれから180年か


私の次の転生者


えっ あつし


あつしがこの世界に


・・・


あつしが


・・・


こんな惨めな私を あつしはどう思うかな


・・・


あつし


・・・


あつしなら 分かってくれるかな


あつしなら


・・・





私達の城に魔王が


・・・


タナトスが


・・・


これは報復


私のせいで この国の人達が


・・・


あつし


お願い この国を


・・・


だめ 間に合わない 今 転生してきても 強くなる時間はない


・・・


みんな 殺される 私のせいで


全て私のせい


・・・


ごめんなさい


・・・


最後にあつしに会いたかったな


・・・


タナトス


私のせいなのに


この子も母親ね 最後まで娘を守ろうと


守って上げたいけど 私には何も出来ない


タナトス この子の娘だけは許してくれないかな


イリスだけでも 助けてくれないかな


・・・


私には何も出来ない


タナトスを殺した私には


言う権利なんてないよね


私のせいで


ごめんなさい


ごめんなさい


ごめんなさい


・・・


えっ



懐かしい この気持ちは何


この男は誰


・・・


まさか


・・・


・・・


・・・


あつし


・・・


あつし


あつし


イリスを


そして タナトスを守ってくれるの


・・・


あつし あつしと話したい


けど


話すと


真実を知ってしまうと


・・・


言えない


倒してくれと


私の復讐に あつしを巻き込むなんて出来ない


・・・


・・・


・・・


私はこの子と一緒に この墓の中で永遠に


・・・


・・・

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