58 仲間と共に




まだセネ達の話し合いは続いている


勇者様は椅子に座ったまま寝ているけど・・・






しばらくすると 話し合いが終わったのかセネ以外の10臣達が部屋から出て行った


「セネ どうなったの」


「今から食事にゃん」


「えっ 話は」


「すずとダリアにゃん」


「えっ 何が」


「集めるにゃん」


あっ すず様とダリア様の魂を集めるのね すず様は城に


「ダリア様の魂はどこに」


「グライデン王国にゃ 王を殺すにゃん」


えっ 智将王がダークエルフなのよね








はぁ~ これからどうするの


真実を知りたいと望んだのは私だけど


・・・


お母様を


・・・


どうしよう


・・・


でも


・・・







私が落ち込んでいるのに気づいてくれたからなのか


勇者様が私の横に座り 私の手を握ってくれた


私は勇者様の肩に寄りかかると


勇者様は 優しく私の頭を撫でてくれた


勇者様 勇者様の顔を見ると


むっ


目線がセネの方に


セネが笑っている姿を見て微笑んでいる


セネが いや 笑顔が好きなのかなぁ


・・・


じぃーと 見つめていると


んっ 勇者様


勇者様が私にキスを


そして私の肩に手を


「にゃ 行くにゃん」


もう いい雰囲気だったのに


「で どこに」


「すずからにゃん」


あっ そうなのね お母様


・・・











私はお母様の墓の前で手を合わせる


お母様 お許し下さい 私に 私達にすず様の魂をお願いします


・・・


勇者様がお母様の墓を


・・・


ダメよ ここは 私が


私は勇者様の前に立ち 任せて欲しいと


私の気持ちが伝わったのか 勇者様は後ろに下がってくれた


お母様


・・・


魔那達よ お母様が天国に行けるように 私に力を貸してください


お母様が苦しまないようにお願いします


お母様を炎が包む


泣いてはダメ お母様なら きっと 分かってくれる


炎が天高く 舞い上がり 火の粉が ゆらゆらと舞う


・・・


私の手の上にゆっくりと玉が落ちてきた


私に玉を渡してくれるように


お母様 ありがとうございます




勇者様が灰も残っていないお母様の墓を丁寧に埋めてくれた


魔王がお母様の墓に花を供えてくれた


・・・


そして 勇者様が手を合わせると それを真似て セネと魔王も手を


・・・


お母様 私の仲間達です 私の大切な仲間達です


私は勇者様を愛しています セネは私の大切な友達です


魔王は好きにはなれませんが 魔王にも魔王の正義があるようです


私はこれから多くを学び それから判断しようと思います


お母様なら分かってくれるでしょ 


正直 魔王を許すことなど出来ないけれど


・・・


・・・


・・・






その夜 勇者様と一緒に


・・・


勇者様は激しく それでいて 優しく


・・・





私は勇者様の温もりを感じながら


眠りについた


・・・




勇者様も私と同じ夢を見たのだろうか


次の日 私は初めて勇者様が恐いと思ってしまった


同じ夢を すず様の夢を見たせいだったのだろうか


・・・


・・・

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