第4話 服を着れば普通のおじいさん


目が覚めて起き上がると 魔王と目があう


眠っている間に襲うきはないらしい


おじいさんはまだ寝ているらしい


魔王の横でぐっすりと


どんな神経をしているのやら


起きるのを待っていたが……起きるようすがない


……


トイレに……このままでは……


「起きてください 朝ですよ」


私はおじいさんを揺すりながら 声をかけた


しかし まったく起きない


魔王に寝ている間に襲われたら……はぁ……


私は強く揺すりながら 大声を出す


ようやく おじいさんが……裸のおじいさんが起き上がった


「きゃっ」


まだ裸なのか……わざとなのか……見せてるの……


そんなことより トイレに


2人にジェスチャーで伝える


すぐに理解してくれたので無事に間に合った


ついでに朝食をとる


食べ終わったが することがない


裸のおじいさんと 憎き魔王と何をすればいいのか


そうだ 裸のおじいさんに服を薦めてみよう 


私に裸を見せたいヘンタイかもしれないが……


2人にジェスチャーしたが上手く伝わらない


とりあえず 向こうにと指で方向を示す


伝わったようで2人は立ち上がりついてくる


たしか この部屋に おじいさんに似合う服があったともう


私はタンスを開けて 探してみた


肌着は男性用があったのでいいとして……変な趣味がなければ……とりあえず普通の服を……


見つけた服を 裸のおじいさんの近くにおいた


「よかったらきてください 寒いでしょうから」


そう言って離れて様子を見ることにした


おじいさんは微妙な顔をして着替えていた


やっぱり裸が好きなようだ


でも着てくれた これで普通のおじいさんだ


おじいさんは私に何かを言って頭を下げた


お礼でも言ったのかな? 気に入ってくれたのかも?


今度は魔王が部屋の外を指差し歩きだした


私とおじいさんはついていく


そこは……そこには沢山の死体が……


魔王はお父様の椅子に……王座に座ろうとした


「ダメ~っ 座らないでよ そこは その椅子は お父様の お父様の」


私はいつの間にか 叫んでいた


魔王は私を睨む


「きゃっ」


私は恐くて目をそらす


しかし魔王は何もしてこなかった


一歩 二歩 下がってしまったが 王座に座らないように必死に訴えた


伝わったのか……魔王は王座から離れて座った


王座の横には……お父様と……お母様の……


私は涙をこらえ 近づき手をあわせた



しばらくして


遠くから


声が聞こえてきた


「魔王~ いるなら出てこいよ~」


声のほうを見ると6人のパーティーが


私を


私を助けに


魔王を倒してくれるの?


私は叫んだ


「助けて~ 私はこの城の王女 イリスです ここに魔王がいます 助けてください」


「王女様 ご無事で 待っていてください

我々が魔王を倒します」


よかった


助けが 助けがきてくれた


そうだ この魔王は強い 手下も物凄く強い ……そういえば手下が見当たらない?


「油断しないでください 魔王は強いです それに まだどこかに魔王の手下がいるかもしれません」


「任せてください 私はリーメン国の勇者 最強の勇者ライです」


勇者と魔王の戦いが始まった


私には勇者を見ても強さがわからない


しかし あの装備はオリハルコン装備 各国に1つしかない その国で最強だと認められた証


戦いのことはわからないけど……互角?


あの剣は……魔王が持っている黒い剣……どこかで見たことが……


あっ 色は違うけど……すず様が持っていた剣


伝説の勇者すずの愛剣 炎の剣 たしか名前はレーヴァティン


すず様の肖像画に描かれていた剣は真紅だったけど……色以外はそっくり


魔王の剣は黒い炎を纏っていた


そういえば おじいさんの剣を見る そうよ あの剣も絵で見たことがある 最強の剣 聖剣エクスカリバー


えっ 聖剣エクスカリバーは……勇者にしか……勇者にしか装備出来ないって聞いたことがあるけど……


そんな……そんなはずはない……おじいさんが……そんなはずはない


そうよ 聖剣エクスカリバーはおとぎ話にしか出てこない剣 実物を見た人はいないのよ たまたま想像して描かれた剣と似ているだけだわ


裸のおじいさん……勇者……認めることなんて出来ない


昼に転生して来ると言われた私の結婚相手が裸のおじいさんなんてありえない


名前はあつし 年齢は15歳って言ってたもん それに異世界の服を着ているって


どう若く見ても 70~80歳? 絶対に15歳じゃない 偽者よ


戦いは勇者達が押しているように見える


あれっ あれは召喚の指輪 それも10個も


魔王が召喚の指輪を装備した


まさか あの手下達を……


ライが魔王に剣を降り下ろそうとした瞬間 いきなり勇者ライが吹き飛んだ


あれは風の魔法?


「貴様 魔王の手下だったのか」


勇者ライがおじいさんに向かって叫んだ


「えっ」


風魔法はおじいさんが?


「おじいさん どういうことですか?なぜ戦いの邪魔を」


私はおじいさんを問い詰めようとした……が通じてないようだ


「おのれ よくもライを」


勇者の仲間達もおじいさんに文句を言っている


すると


おじいさんは立ち上がり 魔王の横に……そして剣を抜いた……勇者達のほうを向いて


魔王がおじいさんに話しかけている


そしておじいさんが前に出た


「そこをどけ 年寄りだからといって 魔王の仲間なら容赦しない」


勇者はおじいさんに剣を向けた


「そのおじいさん強いですよ 油断しないでください」

私は勇者達に叫んだ


おじいさんは更に前に出た


勇者とその仲間達がおじいさんに攻撃を


手加減したからなのか おじいさんは全てかわし 勇者の首元に剣を……


勇者は後ろに飛び退き 剣を構えた


「魔王の手下だ 容赦するな ゴウ ネイ この爺を狙え」


おじいさんに矢や炎が そして勇者と戦士の剣が……


「えっ」


おじいさんは全てを軽々かわし 勇者達を倒していく


勇者のパーティーが全員斬られたように見えたが……倒れているだけで 怪我をしている様子はない


「クソッ 大道を」


勇者が何か叫んだ


おじいさんは剣を鞘に戻して下がった


よかった 全員無事みたい


って思っていたら


倒れている勇者のパーティーに魔王が近寄り


「ザシュッ ザシュッ ザシュッ ザシュッ ザシュッ ザシュッ」


勇者達の首が……


「ぎゃああぁあああぁ~」


私は叫んでいた


次々に飛ぶ首を見て


恐ろしい やはり魔王 一緒に生活して忘れていた 魔王は魔王……


身体が震える 涙が溢れてくる


「殺す必要なんて 殺すことなんて」


私は叫んだ


叫んだが 2人には……



おじいさんと魔王は 私から距離を取って座った


無言で


時間だけが過ぎていく

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