第3話 魔王からは……
「た 助けて 勇者様」
私は叫んだ
魔王は剣を振り上げている
もうダメ
静かになった城から音が聞こえてきた
カーン カーン カーン
時計の音が お昼の知らせ
目の前に光の柱が
そして 光が収束していく
「勇者様」
間に合った 勇者様がきてくれた 私の勇者様が……
「えっ」
光が消えると そこには 裸のおじいさんがいた
「きゃあああああぁあああ~」
私は叫んでしまった
この人誰
この裸のおじいさんは……
裸のおじいさんは 私のほうを一瞬見てから 魔王と戦い始めた
一瞬で裸のおじいさんが負けると思った が……互角? いや 裸のおじいさんのほうが……押している?
裸で剣だけ……しかし立派な剣……左手に持つ鞘も……どこかで見たことがあるような……
魔王と裸のおじいさんの戦いはすぐに終わった
裸のおじいさんの剣が魔王の首を……
斬ってない?
「えっ」
なぜか 魔王が剣を鞘に収めた それを見た裸のおじいさんが私に向かってきた
「えっ 来ないで」
私は裸のおじいさんに叫んだ
しかし 裸のおじいさんは私の言葉を無視して近づいてきた
そして裸のおじいさんが私に触ろうと手を伸ばしてきた
私は恐ろしく 悲鳴をあげた
「ぎゃああぁ~ 来ないで 来ないで」
私は泣きながら 裸のおじいさんに訴えた
裸のおじいさんは両手を上げて 裸の身体を私に見せてきた
へ ヘンタイだ
なぜか 裸のおじいさんは 後退り 私から距離を取っていく
何かをぶつぶつ言いながら 私を見ている
魔王のほうを見たら 私に興味がないのか 裸のおじいさんのほうを見ていた
もしかして 逃げ出す チャンスかも?
今しかない
身体が震えている 今逃げないと 私はなんとか立ち上がり
そして 私は走った 全力で
「きゃっ」
何かにぶつかり私は倒れてしまった
何 いや 今は逃げないと
前に進もうとしたら 何か壁が 見えない壁がある
後ろを振り返ると 裸のおじいさんがゆっくり歩きながら近づいてくる
「えっ 来ないで 来ないで」
私は必死に訴えた
しかし裸のおじいさんは止まらない
私の所ではなく 横に?
横で何かを 見えない壁を触っているのか?
裸のおじいさんがゆっくり進みだした
壁がなくなったの?
そのとき 魔王が叫びだした
私にではなく 裸のおじいさんに何かを言っているようだ
ここにいては……
私は立ち上がり 反対方向に走った
逃げられる このまま走れば
「きゃっ」
私はまた倒れてしまった ここにも見えない壁が
「きゃっ きゃあああぁ~」
私は引っ張られた
後ろを振り向いたが……しかし誰もいない
「えっ」
引っ張られたけど……触られた感触がない
魔王とも5メートルくらい離れているし 裸のおじいさんとは10メートルも離れている
裸のおじいさんと魔王は歩き回り 何かを確かめているようだ
見えない壁を? 確かめているの?
私も歩き回り通り抜けられる場所がないか探した
しかし見つけられない 無いのか
どれくらい時間がたったのか……裸のおじいさんも魔王も座り込んでしまった
私は最後まで逃げ道を探したがダメだった
私に危害を加えるつもりはないのか……私は離れた場所に座り様子を見ることにした
しかし裸のおじいさんも魔王も何もしてこない
わかったことは魔王から5メートルしか離れることが出来ないということ
裸のおじいさんと魔王は私を殺すつもりも襲うつもりもないということ……裸のおじいさんと魔王……油断は出来ない
しばらくして 裸のおじいさんが立ち上がり何かを言っている
手振り身振りで何かを訴えているようだ
食事? そういえば……私もお腹が……
私は裸のおじいさんを食料庫に案内することにした
後ろをちらりと確認すると魔王もついてきている
もしかして 今なら逃げ出せるかも?
私は走った……しかしダメだった ここでも魔王から5メートルしか離れることが出来なかった
食料庫で食べ物を探す
私は料理が出来ない そのまま食べれる物を……果物にパン……干し肉……水
私は自分の分を確保して 2人から距離を取って食事をした
2人も無言で食べていた
食料庫を見ると違和感が……
そうだ ここに入って来たときより食料が大量に減っている
物凄い量が……1000人分くらいの半分の食料が消えた?
2人はそんなに食べていなかったけど……もちろん私も
しばらくして……トイレに……どうしよう……このままでは……
2人は恐ろしいが……漏らすのは……もっと恐ろしい
私は必死に訴えた ジェスチャーで
どうやら通じたようだ
私の後に裸のおじいさんが……魔王も……
魔王もトイレに? もしかして チャンスかも?
私は逃げようとしたが……見えない壁が……
諦めて座る
時間だけが過ぎていく
ここで寝るのかな……
どうせ寝るなら……襲ってきそうもないし
2人にジェスチャーで寝室に行きたいと訴えてみた
どうやら通じたみたいだ
私は自分の部屋に入った
血で染まったドレスを着替えた
なるべく見られないように素早く着替えた
2人は私の部屋に座っている……ここで寝るのかな?
私はベットに入った
すると2人が何か叫びだした
えっ 私だけベットってダメなのかな? でも一緒に寝るなんて無理だし……私は聞こえない振りをして潜り込んだ
「きゃっ やめて やめて」
私は引っ張られ ベットから落ちた 更に引っ張られる
2人を見るとどこかに行っている
2人が直接 私を引っ張ったわけではないみたいだ
違う部屋に行くなら ぬいぐるみだけでも持っていきたいので2人に訴えた
ダメだった
まったく伝わらない
6個のベットがある大きな部屋で眠るらしい
私は入口近くのベットに決めた もちろん夜中に逃げ出すためだ
2人が眠ったようなので 静かに起き上がり逃げ出そうとしたが……壁がある
私は諦めてベットに戻った
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