第2話 真っ赤なドレス



何か騒がしくなってきた


もしかして 勇者様が早くついたのかも?


私は部屋を飛び出し 王座に向かった


「イリス 部屋に……いえ 一緒にいなさい」


「お母様 何かあったのですか?」


「いつものことですよ 魔物が出ました ただ……」


「えっ ただ……何ですか?」


不安そうにしているお母様に聞き返す


「今日はいつもより少し多いいだけですよ 心配いりません」


「そうですか……」


お母様は明らかに怯えている


もしかして1年前のように 10匹の魔物が同時に出たのかも?


あの時は物凄い被害が出た


多くの負傷者に 10人の戦死者が……


私が不安な顔をしていたのか


「心配いりませんよ 今日はイリスの結婚式 周辺の国から王達が沢山の精鋭の兵と共に来てくれています それに 伝説の勇者様を見ようと多くの人達も集まっています いつもより安全ですよ」


「そうですね お母様」


私はお母様の横に座り手をつないだ お母様の手は震えていた




しばらくして 大きな音が……


いろんな場所から……悲鳴と共に……


私は椅子から降り うずくまる


そんな私をお母様は優しく包み込んでくれた


「大丈夫ですよ 大丈夫です イリス 心配いりません」


私に優しく 自分に言い聞かせるように……


お父様も懸命に部下達にいろいろ指示を出しているが……上手くいっていないらしい


「なっ 獅子王ガウ それに亜人最強の猫人族のセネまで あれは獣人最強の犬族のアモネ」


お父様は何か驚いて叫んでいる


「魔王の手下は魔族だけではなかったのか エルフまで……」


恐ろしい魔王の手下達が城の兵士達を次々に倒していく


「ここは俺に任せろ」


「勇者様」


お母様が嬉しそうに呟いた


勇者ケトリが私達の前にきてくれた


助かった 勇者ケトリといえば隣国 ジュリナ国の有名な勇者


勇者は魔王の手下 獅子の獣人?に向かっていった


「ぐわぁああああぁああーーっ」


一撃だった


一撃で


一撃で勇者は……勇者のお腹には大きな穴が……


勇者ケトリが倒れた


「きゃあああああ」


私を抱きしめながらお母様が叫んだ


周りを見ると魔王の10人の手下が……


城の兵達はまったく相手になっていない


殺される


私は怖くて 怖くて ただうずくまるしか出来なかった


しばらくして 温かい雫が……


これはお母様の……


私のドレスが真っ赤に染まる


助けて 助けて


顔をあげ周りをみると誰もいなくなっていた


魔王の手下も


コツ コツ コツ


誰かが歩いてくる


1人の男が……


絵でみたことがある


魔王


魔王は剣を振り上げた


私は死を覚悟した


そういえば……今は……お昼

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る