第46話 現金すぎる。

 あの後、テトラは病院に搬送され一命をとりとめた。

 致命傷に近い怪我と、魔力の使い過ぎで結構危なかったらしい。二週間くらい入院する予定だったが、脅威の回復力を見せてたったの三日で退院になった。頭がおかしい。

 今日は退院祝いと契約継続祝い、それとヘイゼルの理事長就任の前祝を兼ねて、ウチの店を使って打ち上げをする予定になっている。

 ちなみにステビアは悪魔化したテトラから逃れた後、ウチの店まで這って来たらしい。まだクルミは寝ていたのでザラメは急いで病院に連絡、救急課と警備課が駆け付けて病院まで搬送された。

 聞くと丁度その時がテトラの元へ向かった俺と入れ違いになった時間だった。


 俺は家のソファーで横になっている、まだ病み上がりのテトラに話しかけた。

「買い出し行ってきますけど。テトラさんどうします?」

「私はいいわ。あんた達、余計なもん買ってこないでよ」

 テトラは怠そうに欠伸をする。

「わ、私が行くとクルミちゃんもついてくるけど……大丈夫ですか?」

 俺と出かける準備をしているザラメは、おずおずと申し出た。

「問題ないわよ。今日はヘイゼルの奢りだもの」

「んじゃ、ぼちぼち行きましょう」

「うん、行こっか。おいで、クルミちゃん」

 クルミは差し伸べられるザラメの手を握る。

 そう言えば、クルミは継続してウチの店で働く事になった。思いのほか仕事の内容が気に入っているらしく、社会見学に丁度いいからヘイゼルが今後も、とお願いして来た。

 こっちも盛り込み要員の問題があったので、都合が良かった。

 最初テトラは返事を迷っている様子だったが、給料は出さなくていいと言った瞬間に即オーケーを出した。現金すぎる。


 

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