第2話 別れ

俺は、亜衣ちゃんを家に招き入れた。


「おじゃまします」

亜衣ちゃんは、靴を揃えて、俺の後をついてきた。

俺は、さっきまでいた、こたつのある居間に案内した。


「寒かっただろ?亜衣ちゃん、今、紅茶いれるから」

「お構いなく」

亜衣ちゃんは、上着を脱いで、こたつに入った。


「温かね。さっきまで、寝てた?雄介くん」

「うん」

「相変わらず、ずぼらだね」

亜衣ちゃんは、笑った。


亜衣ちゃんとは、幼稚園まで同じだったが。

その後、俺は両親の都合で、今の町に引っ越してきた。


幼稚園の頃は、よく遊んだ。

この頃は男女の差は、そんなにない。


今、眼の前にいる亜衣ちゃんは、とても女の子っぽくなっていた。


「スミレお姉ちゃんは元気?」

「元気だよ、部屋で寝てるけど、起こそうか?」

「ううん、いいよ。雄介くんに会いにきたから」

「そう・・・」

何だかくすぐったい。


俺は紅茶を、亜衣ちゃんの前に置いた。

「ありがとう」

亜衣ちゃんは、そういうと紅茶を口にした。


「それにしても、久しぶりだね。亜衣ちゃん、12年ぶりくらいか・・・」

「そうなるね」

「でも、どうしてここに?」

「最近始めた、ペンフレンドがこの近くにいてね。雄介くんが引っ越す時に、

うちの両親が、おじさんとおばさんからもらった住所があって、訪ねてみたの」

「そうだったのか・・・」

「迷惑だった?」

「ううん、会えて嬉しいよ。亜衣ちゃん」


その後は、いろいろとお話をした。

学校の事、家族の事、昔の思い出話・・・

とても、楽しかった。


まるで、タイムスリップした気分だった。


でも、時の経つのは早い。

あっという間に、日付が変わりかけていた、


「いけない。そろそろ帰らないと」

「泊まっていきなよ。亜衣ちゃん。もう遅いし」

「ううん、お父さんとお母さんが、心配してるし、それに・・・」

「それに?」

「ううん、何でもない。今日は会えて嬉しかったよ。雄介くん」

「俺もだよ、亜衣ちゃん」

「また来ていい?」

「大歓迎だよ」

「ありがとう。雄介くん」


そして、亜衣ちゃんは帰っていた。

ご両親が迎えに来ていたようで、俺の事を覚えていたくれたのか、

笑顔で挨拶をしてくれた。


俺も、挨拶をして、少しだけ話をして、亜衣ちゃんたちは帰って行った。


俺はすぐにまた、会えると思っていた。

でも、亜衣ちゃんに会う事は、二度となかった。


翌朝の新聞を見て俺は愕然とした。


亜衣ちゃんと再会したあの日の午後、

亜衣ちゃん一家を乗せた車は、事故に会い全員が、亡くなった。


その中に、亜衣ちゃんもいた。


しかし、信じたい。

あれは幽霊ではなく、生きた人間の亜衣ちゃんだと・・・

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冬の思い出 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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