第2話レイフォール学園①
「新入生の諸君、まずは入学おめでとう。君たちの活躍を我々は大いに期待しているよ。それでは...」
ここ、レイフォール学園はヴェストレア王国の中心部に位置しており、勇者を教育、育成する場である。
「おい、ハルト!聞いてるか?」
「あぁ、グレイ。おはよう」
この声の若干大きいやつはグレイ・シュナイド、家が近いのでよくつるんでいた。いわば腐れ縁というやつ。
「そんな事いってる場合じゃねーよ、王女様が話すってよ!」
そういえば辺りが騒がしいな。まぁ凄い美人だとか何とかでウワサを耳にしたことがあるがそれが原因かな。
「王女様ってスゲー美人だよなぁ、一回見たことあるけど、あれはもうそこらのやつとはレベルが違う」
グレイは興奮気味に話す。昔から美人には目がないからな。
「そんなに綺麗なの?」
「知らないのか?みたら驚くぜ!作り物ってくらいの美人だ、おっ!あれだ」
前を見ると白銀の長い髪に青い瞳、確かにとても整った顔立ちをしていた。
「皆さん入学おめでとうございます。私はラミエル・ヴェストレアです。私はこの度、このレイフォール学園に入学することなりました。3000年前の悲劇を繰り返さないよう皆さんと一緒に頑張りたいと思います。よろしくお願いいたします。」
シーン
「「えぇぇぇぇぇ!!!」」
入学式が終わりクラスが発表されクラス毎に皆が教室に向かう。
「えぇと、僕の席はここか。」
教室の一番左端に自分の名前が置かれていた。前はグレイか、近くに知り合いがいるのはありがたい。隣は空席になっている。
「おぉ、ハルトはそこか、よろしくな!」
「うん、こちらこそよろしく」
皆が席に座ったところで先生らしき人物が教室に入ってくる。
「今日から君たちの担任になるカイルだ。あぁそれから」
ガラガラガラ
教室のドアが開く。入ってきたのはさっき教壇で話してた...
「今日からこのクラスになる、ラミエル・ヴェストレア王女だ。」
「今日からこのクラスでお世話になるラミエル・ヴェストレアです。よろしくお願いします。」
と、いってから微笑む。すると男子たちの雄叫びと女子達の甲高い声が教室中に広まる。
「やったな、ハルト。俺たちはついているぞ!ラミエル王女と一緒に勉強出来るなんて夢みたいだ」
「あぁ、うん...そうだね」
「にしてもおかしいよな、てっきりAクラスに行くと思ったんだがな」
この学園にはクラス毎にA,B,C,D,Eの5つに別れており、入学試験の結果により別れる。入学試験とは勇者になれる素質があるかどうかの試験で大まかに武術、魔法技術の2つの試験を行う。Aがエリートクラスになっており、順番にランク付けされている。因みに僕たちのクラスはEクラスにあたる。
「なんでAだと思ったの?」
疑問をグレイにぶつけてみると
「知らないのか?、ラミエル王女は魔法技術に長けているんだぞ。ほぼ満点だったとかなんとか...」
確かにそれはおかしい。例え武術がほぼ0だとしても魔法技術が満点に近ければAになる可能性は十分にあるし、そうでなくてもBは確実なはず。
「まぁ、どちらにせよ俺たちは幸運だったてことは確かだな!」
どうやらグレイはそこまで気になってないらしい。
「そうだね」
そうこう話していると先生とラミエル王女の話は終わり、
「ラミエル王女の席だが...あの空いている席に座ってくれ」
そういい、僕の隣の空いている席を指差した。ラミエル王女は、わかりました、とその席に向かい腰をかける。
「よろしくね...えぇと」
「そうかまだ自己紹介していなかったね。僕はハルト・ルシフェル、ハルトで構わないよ」
「私の事もラミエルでいいわ、よろしくねハルト」
そう言いラメエルは手を指しだす。様付けしなくていいのか少しためらったが握手をした。
「よろしく、ラミエル」
恨めしそうなグレイが気になったが、まぁいいか。
朝のチャイムがなり一時限目の授業が始まる。この授業では、なぜこの学園が出来たのか、についての講義だ。
「皆さん、なぜこの学園が出来たのかご存知ですか?、それは3000年前に遡ります。魔物の王、魔王ラミアが魔物を引き連れ人間を滅ぼそうとしました。そんな時、5人の勇者が現れ見事魔王を倒しました。しかし、伝承では魔王と1人の勇者がどこにも見当たらなかったのです。魔王はまだ生きている可能性がある以上、2度とこのような悲劇が生まれないようするため、この学園ができました。」
そう、この世界にはまだ魔物がいる。今では魔物による被害は少なくなり、ここ十数年、死者がでたというニュースは聞いたことがない。
「この学園の目的は魔物を一掃する訳ではないです。人間達に被害を加える魔物から守ることです。また、魔物だけでなく、悪さをする連中を捕らえることも含まれます。」
この学園卒業後ほとんどの人が憲兵になる。事実僕も憲兵になるためにこの学園に入ってきた。
「より良い国を造るために、皆さんもこれから頑張ってくださいね。以上で講義を終了します。」
講義終了の合図と同時にチャイムがなる。
「ねぇグレイ、結局その勇者と魔王はどうなったんだろうね」
「さぁな、魔王の自爆魔法で消し飛んだって説が濃厚だがな、なぁ、それより次の実技授業楽しみだな!腕がなるぜ」
次の授業は確か基礎魔法の実技授業だっけ?魔法はあまり得意ではない。というより苦手だ。ここに入れたのは昔からやっていた武術のお陰だろう。
「どうした?ハルト。あぁ、お前魔法使うの苦手だったか」
「うん...魔法を使おうとすると、魔力そのものが自分のものじゃないような感覚で上手く使えないんだよね」
全く使えない訳ではないが魔法を使うため詠唱しようとすると、何かに拒まれる感覚がするのだ。
「自分のものじゃない感覚...か、よくわからんがいつか治るんじゃないか?ここに居れば」
「そうかなぁ、そうだといいんだけど...」
まぁ悩んでても仕方ないか。次の準備をしよう。
「おい、もうこんな時間だぞ、早く行くぞ!」
グレイが慌てて準備をする。
「あっ、うん!」
グレイの後を追うようにして教室を出ていく。
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