【連作短歌】はつもうで(十五首)

初詣起床時刻は午前5時なんだいつものバイトの時間


隣室のアラーム音で目を覚ます午前4時半いびきが聞こえる


午前5時いつも遅寝のものどもがぼくより先に着替えをすます


7時過ぎえづきを抑え山登り命の澱を吐かないように


手についた汚物を流す2分間周囲の会話聞き流しつつ


5円投げ8時ちょうどの神頼み祈る望みはただ生きること


8時半「不安にさせるな」母が言う不安にさせる「何か」は言わぬ


こもるなよ人と出会って繋がれよ神籤みくじが言った母も言った


生きること繋がるためにどうするか手本はちょうど周りに聞こゆ


ぼくの言うある「一言」がその「何か」突如泣く母家族は知らぬ


土産買う待機列にてただ思うみんなが言った「繋がる」の意味


帰路で会う談笑をする詣で客どうしてそれができるのだろう


突発理解エウレカは誰かの笑いと迫りくる理解できぬと理解すること


天城の言ういわゆるQは午前9時ぼくはぼくの死ぬ音を聞く


人は死んだその後でも、死にたくないと呟けるらしいと知った正午の自室。

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