【連作短歌】坑道の青いカナリア(十三首)

その意見言う権利だけは守ります

私の命すべてをかけても


カナリアは色とりどりに鳴いている

赤青緑紫橙


「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」一匹目のカナリアは難を逃れた


守るべき自由のための鳥カゴのエロスと性の青いカナリア


我々は坑夫にあらず戦士だぞ

持った鳥カゴ穴には出さず


敵は誰?

三角眼鏡のわからずや

今風に呼べばフェミニスト


フェミニスト?

そいつは誰だ?

どんなやつ?

オレらの敵さ

たったそれだけ


鳥カゴのカナリアはまだ騒がない

騒がしいのは飼い主ひとり


カナリアが自由に動かすその絵筆

市長を名乗る男が折った


ここちよく男の耳にさえずるを

自由を示すカナリアと呼ぶ


鳥カゴの青いカナリア騒がない

自由は無事と安堵する人


その意見言う権利だけは守ります

私の命は危なくないから


坑道の青いカナリアは知っている

周りでみんなが死んでいることを

自分もすでに死んでいることを

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