【創作エッセイ】あけまして、たんじょうび、おめでとう。

わたくし

申し遅れましたがこういう者です

紙切れの名は

知らぬ肩書


「申し遅れました。わたしくし、こういう者です」

 とか言って、

 薄い金属製のケースから何か紙切れを取り出せればそれらしいのですが、

 あいにくぼくにはチラシの裏に書く言葉すら無いという有様ですが。

 はじめまして。

 

 袋緒花緒と申しまして、

 1月2日にちょいとしたことで生きる気力が尽きてみて、

 べたついた生命力の燃料タンクをさらったら出てきたのが短歌だったことに実は一番驚いているのもぼくです。

 なのでぼくの誕生日は2019年の1月2日にしてください。

 Twitterにもそうお願いしたら13歳未満はダメだとか言い出してロックされました。融通の利かないカナリアですね。

 このままロックされたらどうしよう。


 元は小説書きでして。

 今も小説書きでして。

 本来ならカクヨムの「近況ノート」で書いているような内容を本編で書いているのにびくびくしているぼくです。

 これ本当に本編でよろしかろうか? 問うてみても答える者はいず。

 一人暮らしだし居たら怖いわ。


 短詩文芸に馴染んでおけとは小説創作時代のお師匠様からのお言葉ですが、

 あいにく生まれてこのかた、短歌や詩の面白さなど味わったことのない身でございました。

 小学生時分、音読の宿題が詩なら少なくてラッキー、とか。

 そんなことを思う悪ガキでしたゆえ。

 死にたくない、死にたくないなあと思ったあの日、

 いつの間にやら書いていたのが小説でもなく遺書でもなく、

 短歌十首だったという驚きは他の誰にもおそらく共感いただけないでしょう。

 

 あるいは、歌とはそういうものなのかもしれませんが。


 ともかく「新年ファミレス」十首、上梓いたしまして。

 素人歌人未満、袋緒花緒。

 五日遅れの明けましておめでとうございます、と、

 いつかおくれの誕生日おめでとうを自分で言って、

 おぎゃあと生まれてのろいのうたをうたいます。


 幸せな方は詠まぬが吉。

 死にそうな方も詠まぬが吉。

 なにせのろいのうたですから。

 一首一首ものろいのです。

 それでもお付き合いいただけるなら、

 どうぞお目汚し、お耳汚しを。

 

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