【連作短歌】スーパーマリオ(十四首)

ある配管工には残機いのちがみっつあるという

×02であらわされている


懐かしきスーパーマリオ

灰色のゲーム機の前に

われらさんにん


交代に

コントローラーまわりゆく

だれがいちばん上手だったか


兄二人

次々落ちてぼくの番

残機ゼロでのスタートライン


マリオはね

金で命を買うという

百枚金を積んでみろ


交代に

コントローラーまわらない

ある日のぼくは

姫のみもとに


百枚で残機をひとつ買えるなら

お金がへると残機いのちもへるの?


ある日から

小さなみっつのゲーム機が

ぼくらにとってのそれぞれの世界


コントローラーはもうまわらない


人生をゲームに例えるバカヤロウ

みんなが笑う

ぼくらも笑う


笑い声

響いて気づくぼくだけが

家が灰色でできていることに


ああそうか

ぼくらはマリオ

あの日から

コントローラー

握るもぼくら


兄二人

次々落ちてぼくの番

残機ゼロでのスタートライン


ある家庭では

残機よゆうがみっつあったという

×00であらわされている

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