003  類似する世界Ⅲ

「な……」


「う、うっ……」


 問題はそこではない。


「す、すまない! い、いますぐ手を……う、うわぁあああああ!」


 すぐに立ち上がろうとすると、濡れた床に足を滑らせて、そのまま前に転ぶ。

「あっ……うっ……きゃ、きゃっああああああ!」


 悲鳴と共に、俺の頭の上に硬いものが思いっきり降りかかってきた。


 そして、意識が朦朧とする中、視界が少しずつ消えていく————


 ガクッ————


 そのまま俺は木を失った。



「う、うん……頭が……」


 後頭部を手で押さえながら俺はゆっくりと体を起こした。


「お父さん、これってどうゆう事なの? 今までこんなバグなんて起こらなかったじゃない!」


「い、いやぁ……俺に言われてもどうしてこうなっているのか分からなくてなぁ……」


 春の父親は困った表情をしながら頬を書く。


「分からないって! この世界に閉じ込められてこんな事、一度も起こらなかったのにどうしてこうなったのよ!」


 春はものすごく起こっている。


「まあまあ……そんなに怒らなくてもいいだろ?」


「んもうっ! こんなことで私はどうなったか————」


 春は頭を掻く。

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