001  類似する世界Ⅰ

 夕方のニュース番組で女子アナウンサーがニュースを読み上げていた。


『昨日、午後八時から夜中の二時にかけ、流星群りゅうせいぐんがこの日本から無数に発見されました』


『この流星群は、こと座流星群といい、春乃流星群として代表されております。今現在、日本の各地で流星群の隕石が落下した情報は入っておりません』


『こちらがご覧の映像です』


 と、テレビの映像が切り替わり、こと座流星群の動画が流れ出す。


『JAXA宇宙航空研究開発機構によりますと————』


 このニュースは朝から報道されている。


「へぇ……昨日はこんなに綺麗な流星群が見れたんだ……」


 笹倉春ささくらはるは、羨ましそうに見つめていた。


「春、そこのマヨネーズを取ってくれるか?」


「……お父さん。普通、目玉焼きにはマヨネーズよりも醤油だって言っているでしょ」


「これくらいいいだろ? 俺にだって好みの味付けっているのがあるんだし、それに春は醤油じゃなくてマヨネーズを進められたら嫌だろ?」


「私はマヨネーズが絶対に合わないから醤油がいいの!」


「まあ、それでもいいが……。近頃の女子高校生は綺麗で美人なかわいい子が持てるらしいからな……」


 春の父親は、微笑みながら言った。


「そんなことより、この世界から抜け出すことってまだできないの? そう言えば、今度転校生が狂って話を聞いたけど……」


「そうだな……さすがの俺も早く現実世界に戻りたいとは思っているんだが……なにえ運営側がログアウトボタンを削除してしまってからはどうともできないから……。それにしてもお前の所に転校生が来るのか……。仮想世界とは言え、本当に現実世界だしな、この世界は……」


「そうよね。一人や二人この学園都市に転校してきてもおかしくはないわ」


「ま、その子と仲良くするんだぞ」


「分かっていることは分かっているんだけど……」


 春は苦笑いをしながら食事を終えると、食器を流しに戻した。




 食事を終え、春は着替えの服を持って風呂場へと向かった。そして、服を脱ぎ、タオルを持って風呂場に入った。


 ————それにしてもこの世界に閉じ込められて約一年……。本当に現実世界に帰れるのかしら?


 ————まぁ、この仮想世界でも悪くはないんだけど……。味覚も変わらないし、嗅覚、視覚、聴覚、触覚、全ての五感も感じられる。それに現実世界と変わらないこの姿、本当にすごいわ。《エブリー・ワールド》……。


 そう思っていると、いきなり目の前が光った。


「え?」


「う、うわぁ!」


「な、なに……? ひゃっ、ひゃっん‼」


 意識が朦朧もうろうとする中、軟らかいものが何かにあたった。


「ん、ん……?」


「あ……う……」


 視界が少しずつ見えていき、目の前の光景がはっきりと見えてくる。

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