瞼を覆う濃紺に
瞼を覆う濃紺に 褪せた畳の湿気った匂い
プラスチックのおもちゃの電話
ふすまの向こうに祖母の影
煙草のヤニが渦を巻く
瞼を覆う濃紺に 大きく歪んだカーテンレール
ひとりで囓った酸っぱいりんご
壁の向こうに父の影
瞼を覆う濃紺に ぼくの記憶が埋もれて消える
瞼を覆う濃紺に
瞼を覆う濃紺に
ぼくの未来が融けていた
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