第3話 ちょんまげマーチ

ズキッ、ズキッ……


(うう……、なんか頭痛い)




ぼんやりした思考のまま、希美は自身の意識が少しずつ覚醒していくのを感じとった。


よくわからないが、頭痛がひどい。まず希美が考えたのは、それだった。




(やばい、脳腫瘍とか脳溢血だったらどうしよう。子ども小さいのに、死にたくないよお)


希美は病気に関しては、そうとうにビビりなのだ。不安でたまらなくなる。




しかし意識がはっきりしてくるにつれ、ガヤガヤとまわりの声を認識できるようになってきた。どうも自分は倒れていて、まわりを人が取り囲んでいるようだ。希美はそのように当たりをつけた。




(そういえば、最後に覚えているのはなんかすごい衝撃がきたってことだな。一体何があったんだろう……って)




「お迎え!!」




どのくらいの時間意識を失っていたのかはわからないが、あの時お迎えの時間はギリギリで急いでいたのだ。確実に遅刻している。というか、なかなか迎えに来ない母親を待って、あの子泣いているんじゃないかしら。


希美は慌てて、飛び起きた。




その時、ようやくまわりが目に入った。




「……え?」




なんか着物姿のおっさん達に囲まれている。


いや、着物姿だけならまあ、そういうのが趣味な同好会がたまたま居合わせたのだろう、と思える。


しかし、軒並みおっさん達の頭が、ちょんまげなのだ。


希美は眼をこすって少し眼球をマッサージした後、もう一度見てみた。




うん、確実にちょんまげ。






いや、ちょんまげ!?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る