Epilogue ★ 希望の星

(終)終 幕

■◇■〔航行日誌〕惑星暦3039年165日 ログイン ⇒


 我われは、命あふれる奇蹟の惑星を去ることにした。

 ノアーが願っていた手付かずの大自然は、ここに守られた。そして人類再生の新たな歴史が始まった。水の星を目指せと言った予言者の真意は、これだったに違いない。自然破壊を繰り返し、同胞の命までも奪い合う殺戮さつりくの歴史を変えるため、人類の更生こうせいを望んだのだ。それは人類の新たな進化を期待するものである。


 新惑星は今後どうなるのだろうか。

 我われがいた奇蹟の『命の種いのちのたね』のことなど全く知らずに、惑星の時は刻まれて行くことだろう。そこには野生の命が満ち溢れ、永い原始の時代が続く。やがて新惑星人類は、ゆっくりとであるが着実に進化を遂げて行くに違いない。


 赤と銀色の宇宙ファルコン、二機の反重力宇宙船は銀河彼方を目指し、双胴船そうどうせんのように寄り添って、原始の惑星を静かに旅立った。

 我われは、希望の新天地を再び求めて、流浪るろうの旅を続けることになる。丁度今、オールトの雲と呼ばれる暗黒の世界に入った。いよいよヘリオスフィア(太陽圏)を抜けるのだ。これからは、まさに銀河宇宙探検旅行となる。



 ところで、宇宙船の航行中にノアーの日誌は、様々な驚愕きょうがくの事実を教えてくれた。

 我われの母星『氷の星』の奇蹟の発見には、人類の存続が懸かっていたり、人類の運命は、一つの奇蹟が新たな奇蹟を生むという、奇蹟の連鎖れんさであったりと。ノアーの日誌には、短い時間ではとても語り尽くせない運命のドラマが、ぎっしりと詰まっていた。


 その中でも最大の驚きと感動をさずけてくれたのは、伝説の『水の星』が約束の星となったこと。そしてノアーは、未来からやって来た人類の子孫であったことだ。


 謎の予言者は、日記の最後に、この奇蹟の惑星『水の星』をこう呼んだ。

 その名は・・・・……。


 『 The Planet Earth 』

                      

===以上、ログアウト □◆□


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