裏表少年と笛吹き死神 第8話 (平城山松前 作)

最近、友達の体調が回復傾向にあると聞いた。時間を稼ぐのは無駄ではなかったのだろう。しかし最初は1週間に1回くらいだったのに今は1ヶ月に1回来るかこないかだ。

もしかして「遊ぶ」というのは僕を家に縛り付けておくための言葉?そうだとしてもあんなに頻繁に遊ぶはずがない。待てよ?そんなに頻繁に遊んでいたのは最初の頃だけで「遊ぶ」を真実だと思い込ませるためだとしたら…友達が危ない!


「お母さん、ちょっとあの子の家行ってくる!」

「宿題はしたの?」

「当たり前じゃん!んじゃ行ってくる!」

「あ、ちょっと!気をつけるのよ!」


はぁ…はぁ…友達、大丈夫かな?


「きゃあああああ!」


ん?なんだ?あ、信号の向こう側でナイフを持った人が暴れてる…ここじゃなくてもう一個先を渡ろうか…


「はぁ…はぁ…やっと着いた…ごめんください!」

「あらどうしたの?そんなに息を切らして。」

「あ、あの!なんか最近あの子について『変だな』って思ったことはありませんか?」

「今のところ順調に熱も下がってるけどどこか変とは思いはしなかったわね。別に一回病気にかかっただけで性格が変わるとかそういうのはなかったわ。」

「あ、分かりました!ありがとうございます!」

「変な子と友達になったわねあの子…」


なんもおかしなところはなかった…?もし死神さんが来ているならそんなことはないはず。そもそも死神さんって普通の人には見えるけどとある条件を満たした人には見えないとかそういうのってあるのかな?ってあそこにいるのは!


「あ、少年じゃないですか。こうやって道端で会うのは久しぶりですね。」

「なんでここに?」

「ちょうど仕事がこの近辺で入ったんですよ。」

「まさか…友達?」

「いやいや、最近この辺でうろついている通り魔です。」

「あ〜…あの人ですか。」

「そうです。あ、あとあなたの母親とも話させていただきました。」

「えっ?どんなことを話したのですか…?」

「そうですね…例えば…」


「『塩』の事、とかですかね。」

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