裏表少年と笛吹き死神 第5話 (あんかけ 作)

「うへぇ……この番組面白いなぁ」


僕は今、とあるバラエティー番組を観ている。

その番組で、『21ゲーム』の必勝法が紹介されていた。

後攻で、4の倍数を言っとけば勝てるらしい。











その番組も終わり、僕はリビングから自分の部屋に戻った。

あの番組が終わってしまって、少し寂しい気分になる。

また来週を待とう。


「こんばんは、少年」


そんな期待をよそに、憎き死神が現れた。

あの番組もコイツと一緒に観るとなるとつまらない。

番組が終わった後に現れて良かった。


「こんばんは!死神さん!」

「いい子いい子。んで、今日は暇なので立ち寄ったのですが、何の遊びをしますか?」


おい。

決まってなかったのかよ。


「少年、何かいい遊び、ありますか?」

「いい遊びと言われても……あっ。」

「あるんですね?」

「……『21ゲーム』はどう?」


ふっふっふ。


「あ、それ、知ってます。やりましょやりましょ!」

「ええ、やりましょう!じゃ、先攻どうぞ。」

「いいんですか?じゃあ遠慮なく」




それから21ゲームを続けた。

もちろん1回目は死神さんが負けた。

なので、そこから『負けた方が先攻』と言ってずっと死神さんに勝ってきた。

同じパターンだとさすがに必勝法がバレてしまうから、毎回違うパターンにしたのは大変だったなぁ。




「……ふぅ、少年、強いですよ!」

「へへっ、何故か得意なんですよねぇ~。」


死神さんに勝った気分。

このままこの騙し合いも僕が制してやろう。


「……いやぁ、本当に強いです。でも1つ、質問があります。」

「はいはい何でしょう?」




「……このゲームに、必勝法ってあるんですか?」




「……ないですね」

「ないんだ。てっきりその必勝法を少年が知っているのかと……いや、必勝法がないのに絶対勝つ少年はすごいです。いい暇潰しになりました。では!」


……そう言って、死神さんは去っていった。

なんか……この前見せたようなゾッとした笑顔をまた見せてきたな……。

でも、まだ僕はこのゲームから退かないよ。

この騙し合いのゲームから。











「……全く、21ゲームの必勝法だなんて僕も知ってますよーだ」


だって、有名ですもん。

それに、自分でも計算できますしね。

いやぁ、少年はウソを稼いだことにまだ気付いてない様子ですね。

今日はある意味僕の勝ち、です。


「……ふふっ。そろそろダウトでもしよっかなぁ~」


でも、ちょっと待って下さい。

ダウトで言う『ウソ』は『ウソを言わなきゃいけないという』です。

ルールなのでさすがにノーカンじゃないですか……?


……21ゲームの必勝法みたいなものなんですかね。

ズルのような、ズルじゃないような。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る