裏表少年と笛吹き死神 第4話 (平城山松前 作)
あいつが去ってから一週間が過ぎた。「定期的に僕の様子を見に来る」と言っていたが何日おきくらいにくるんだろうか。
「ただいま」
「お帰り、学校どうだった?」
「え〜っとね…」
僕の家は学校から帰ってきたらいつもすぐお母さんと話すんだ。今日は少し早く切り上げよう。なんか悪寒がする。
「…ってことがあったんだよ。」
「そうなのね。それは辛かったわね。」
「ってことぐらいかな。」
「じゃあ宿題はちゃんとするのよ。」
「わかってるよ!」
「…いつもはもっと長く話すのに…何かあったのかしら?」
いつもより早く部屋に戻ったが誰もいなかった。今日じゃないのか。
「お邪魔しますよ。」
「うわっ!?」
壁を抜けてきた…そっか。これでも「死『神』」か。
「そんな驚かなくてもいいですよ。あ、そうそう。今日はこれをしようと思ったんです!え〜っと…トランプは…あった!」
「なんでトランプが置いてある場所がわかったんですか!?」
「なんとなく、ですよ。んで、今日は『ブラックジャック』というゲームをします!」
えっ…なにそれ…
「簡単にルールを説明するとトランプを1枚ずつ引きあって合計が21点に近い方の勝ちです!」
「えっ?じゃあ24と18になったらどうするんですか?」
「21より超えてしまったらその時点で負けです!」
えっ…難しくない?
「得点もカードによってちがいますよ。2〜10までは数字のまま、J、Q、Kは10点、Aは1点にも11点にもできます!」
「じゃあAと7になった時は8点にも18点にもなるってことですね!」
「そうです!あと、もうカードを引きたくない時は『おわり!』というのと最初に配られたカードは相手に見せないでくださいね。」
「はい!わかりました!」
「では始めましょう!」
あれ?あのゾッとした笑みは一体なんだったんだろう…?ただ怖かっただけ?ハッタリ?まいっか!
〜数十分後〜
「はぁ…久し振りに遊びましたがハラハラしてたのしかったですね。」
「そうですね、また一週間後にくるんですか?」
「さあ?今回たまたま一週間でしたが次はすぐ来るかもしれませんし長くあくかもしれません。ではまた。」
「さようならー!」
死神さんも楽しそうだったし…一体何がしたかったんだ…?まさか本当に『休息』なだけなの?
──
ゲームで「嘘」を稼ぐ作戦、なかなかいいですね。でも最初に「ダウト」なんて持ってきたらこちらの目論見も見透かされてしまうでしょうし…最初は「普通のゲーム」にしておいて良かったですね。
さて、仕事に戻らなくては。次はちゃんと「嘘」を稼がせてもらいますよ、少年。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます