裏表少年と笛吹き死神 第3話 (あんかけ 作)
学校に行っても、その友達と死神のことが頭から離れません……。
どうしたものか。
あの死神から友達を守らなくては。
学校から帰ってきて、2階に上がり、自分の部屋で宿題をします。
小学校の宿題。
とても簡単でつまらないです。
でも大人になったらもっと難しい問題に応じなきゃいけません。
頑張らなきゃ。頑張らなきゃ。頑張らなきゃ……。
……はっ。
いつの間にか机に突っ伏して寝てました。
窓の外を見ると……わお、夕焼けがキレイ。
決して勉強が難しいから寝てたんじゃないです。
簡単で退屈だから……
「おはようございます、少年」
……。
「……うわ!不法侵入!」
「あなたのような無邪気な少年の口からそんな言葉が出てくるなんて。」
「おおおおおお母さ……」
「無駄ですよ。僕は今、少年の目にしか見えない。」
へぇ……。
やっぱり僕にしか見えないんですかね?
いやでも、僕の推測が正しければこの死神さんは色んな人間のお迎えに行っているはず。つまり今だけ僕にしか見えないんだ。
しかも誰にもバレずに不法侵入することもできる。死神さんはすごいパワーの持ち主なんでしょうか……。
……それでも、友達を守らなきゃ。
「……で、その少年の友達には会ってきましたか?」
「はい……。本当に、最期の最期……なんですよね……。」
「もちろん。今からでもお迎えに行ってきますよ。」
……こんな奴に惨殺されたくないよね、きみ。
「ちょっと待って下さい」
「どうしました?」
演技とウソは……得意だ。
「あ、あの、その友達に会ったら……『病気が治ったら一緒に遊ぼうね』って言ってきて……僕、これからこの人が死ぬのかな……って思うと……泣きそうで……」
「……。」
「お願いします、もっと僕に時間を下さい……。」
これでお迎えを止めれるかな?
「……分かりました。時間をあげましょう。」
「……!ありがとうございます!」
「とりあえず僕は、あなたの友達のお迎えに行くまで定期的にあなたの様子を見に来ようと思うのでよろしくお願いします。その時はババ抜きとかボードゲームとかでもしましょ♪死神のお仕事にも休息は必要ですもの。ああ、潮時だと思ったら『お迎えに行ってくる』ってあなたに言いますのでご安心を!」
ペラペラと語り出す死神さん。
ウザい。
「あ、また今度来るので、悪巧みしてたらバレちゃいますよ?ふふ、では、僕はこれで。」
……そう言って、死神さんは窓を透けて夕焼けの空に消えていった。
今の死神さんの笑顔にゾッとした。
もし僕がウソをついていることや友達を守っていることがバレたら、僕も悪者として扱われる。
ウソにウソを重ねなきゃ。
──
「……はぁ、まだ殺れないかな」
ビルの屋上からの景色は最高。
でも、なかなか少年の友達が殺れません。
「……まあいいか。少年にたくさんウソをつかせて、少年は最も重い刑に処しちゃえば。一石二鳥とはこのことでしょうか♪」
ふふ、僕って頭いい。
……さて、悪い子があそこにもいますね。
少年達を殺れないストレスは、他の悪い子の苦しむ表情で発散しちゃいましょうか。
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