ルイの構造

 そもそも、何故ルイがその教師ガブリエルにそのような雰囲気を見たのか。それはは、彼女は容姿として整っているのに全体的な違和感を感じたからである。時に生きていると総合的に妙な違和感を感じるが自分でもなぜ違和感があるのかわからない、だが少し近ずきにくかったりどこか相手にしずらく感じるものがある。しかし、それはルイだけが感じたことであり、ほかの者たちは3日ほどその先生の容姿でもちきりであった。噂の間しばらくルイの出番はなかった。ルイにとって目立たぬことは退屈であったが、彼はほかの者たちからの奇異の目から解放され少し姿勢が緩むことを許された。彼はその心情から読み取れる通り非常に感化されやすいたちで、この年頃それはなおさらであった。

 ガブリエルに関しては教室に教えに来るたびに内容がどうだとか話題になったがそれもなくなっていた。だからと言ってルイがまたクラスメイトの話題になるわけではなかったが、バチストの自慢もなくなったように思える。

 バチスト自身は、ルイのことをどう思っているかはともかく(どこか劣等感を自身に感じたやも知れないが)その自負心を愚かと思ったのだろう。


 そんな変哲のない毎日が続くとルイはだんだん退屈になってきた。彼にとって退屈な時は自分がよく目立っていない時で、そんなときは自分の視界に見える人の良いところと悪いところを探したりしていた。彼は心が優しいと言ったが彼自身は少しプライド高いところや高飛車な部分もあり。時に、まるで自分の評価する人間の考えが自分より浅はかであるともいえる考えがあった。そんなルイは新米の教師ガブリエルを評価し始めた。それは先日感じた違和感(ルイ自身が感じた違和感)の正体を突き止めるものだった。もしもあるたいていの人物が人に違和感を感じればその人は即刻、違和感の正体を決め付け突き止めるだろう。しかし、ルイはよく考え時間をかけてその人を判断する。そのためルイは人に親しく接するまでに時間のかかるもので、これは一種のコミュ障と言ってもよかった。(皆が思い浮かべるような根暗に見えるものではないと考えてほしい)だが、彼は興味を持つ人物や持ってきた者を無下にすることはなく自分から話しかけることもあったため人と接することは必ずあった。

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